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02 悪役令息とはいえ、やることは色々あるんです

 まあ、だらだらと意思表明をしてきたが、これからのことを考えないとな。

 今、乗っている馬車は王都近くに領地を持つ伯爵家に向かっている最中なんだが、この伯爵家の令嬢が俺の婚約者で……まあ、これから婚約についての話し合いだから今は無関係だな……このゲームのヒロインの1人だ。

 このゲームはヒロインとの学生生活楽しむアドベンチャーパートと、ダンジョンを攻略するRPGパートに分かれているんだが、アドベンチャーパートでは伯爵令嬢として、RPGパートしては水魔法の使い手として活躍するんだよな。

 この世界の魔法はちょっと特殊で、生まれつき持っている属性が決まっていて、属性数が少ないほど高威力の魔法が、属性数が多いと簡単な魔法しか使えない。


 これから会うヒロインは……というか、ヒロイン、主人公、ラスボスの全員が単属性の魔法使いで、世界最高レベルの魔法を使える素養の持ち主だ。

 もちろん、中ボスである俺はそんな素養は持ち合わせてなくて、全属性……すべての属性が使える代わりに高威力の魔法は使えないという残念仕様だ。

 まあ、その辺がコンプレックスになって主人公に嫌がらせをするわけだが、前世の記憶をもってしまった今となっては全属性とかどうでもいいというか、むしろ魔法が使えるだけでスゲーってなるな。


「マックス、そろそろ伯爵家につくぞ。お前の役割は分かっているな」


「はい、お父様。ミネッティ伯爵家のカタリナ嬢との婚約、それによる王家派、貴族派への監視ですね」


「うむ、お前には自分の好きなものとの婚約をさせてやりたかったが……」


「いえ、貴族家に生まれた時点で自分の意志以外での婚約も視野には入っていました」


「すまない、苦労を掛ける」


 ゲームのシナリオには出てこないが、この国は国王派、王家派、貴族派に貴族が分かれていて、国王派は国王に対し忠誠心が厚く、国王以外は王家であろうと権力を持つべきではないという考え方で、中央の文官や辺境伯などが中心。

 王家派は王家というくくりにいる人間すべてが権力を有するべきという考え方で、公爵となった王家の一部やその周辺領地の伯爵家が中心。

 貴族派は王制ではなく、貴族による議会で国を運営すべきだという考え方で、新興の男爵家や圧政に苦しむ一部の庶民が中心となっている。


 我が家は南東の辺境地域に領地を持つ伯爵家で、条件を満たしていないから辺境伯ではないが、国王派に属している。

 そんなゲルハルディ家に国王陛下から国王派の結束を高めてほしいとの個人的な頼みがあって、王家派、貴族派への監視を行うという名目で婚約話が進んでいる。

 ミネッティ伯爵家はラスボスであるエルメライヒ公爵家の傘下の伯爵家で王家派なのだが、子供がカタリナ嬢1人なので、古参貴族が多く最も安定している国王派への鞍替えを望んでいるらしい。

 王家派の監視をしたいゲルハルディ家、国王派への渡りをつけたいミネッティ家双方にとってウィンウィンというわけだな。


「わたしは若についていきますから」


「確かにレナがいれば助かるが、レナも男爵令嬢としての責務があるんじゃないか?」


「お父様には許可を得ています。若の影として最後までお勤めをしろと言われました」


「まったく、テオもそうだが、バルディ家は働きすぎだ」


「バルディ家があるのはゲルハルディ家のおかげですから。それに影として主人を守るのは当然のことです」


「影……助かっているのは事実だが、そんな役目を作った覚えはないんだがなぁ」


「そのあたりはお父様と旦那様がお話すればよろしいかと」


「とりあえずレナがついてくるならメイドとしてとなるがいいのか?」


「はい、若。若のお世話は望むところです!」


 うーん、領地持ちの男爵家に連なる令嬢だというのにメイドを望むところって……まあ、爵位を継がない貴族子息は家令や侍女になったりするというが。


「とりあえず、屋敷についたらマックスは客間でカタリナ嬢と会ってくれ、レナは侍従や執事見習いとともにマックスの側に。私はミネッティ伯爵と応接室で話を詰めているからな」


「わかりました」


「かしこまりました」


 さてさて、ゲームのシナリオ通りになるように努力していかなくてはな。

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