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17 クルトとの出会い

「おっ、坊ちゃん。見学ですかい?」


「騎士団長、体力作りもひと段落着いたから、剣術の方も学ぼうと思ってね」


 レナとの婚約も認められて、しばらくは体力作りに専念していたが6歳になった今では、体形も元通り、ある程度の距離を走り続けても息切れもしなくなってきた。

 そろそろダンジョン攻略に備えて、剣術のひとつも学ばなければなと思いつつ、騎士団に見学に来たってわけだ。


「剣術ですかい。俺はハルバードを使いますからな、坊ちゃんにはまだ早いでしょう」


「そんなニッチな戦い方を学ぶつもりは最初から無いよ」


「ニッチってひでえですなぁ。これでも大物が出た時には大活躍なんですよ」


「次期領主が大物が出た時に率先してハルバードを振り回してる絵面を想像してみなよ」


「ふむ……蛮族ですかな」


「だから、使わないんだよ」


「じゃあ、クラウスの旦那に習うんで? あっちでソワソワしていますし」


「規格外の剣術を習って凡人に何をしろと?」


「ですなぁ。クラウスの旦那は旦那で両手剣を片手で振り回す猛者ですからなぁ」


「もっとさ、まともな……というか、スタンダードな剣術を使う人はいないわけ?」


 自分の家の騎士団を貶したいわけではないが、この騎士団は騎士団長と領主というトップ2人が常識外れの武器を使ってる関係上、スタンダードな戦い方をする人が少ない。

 まあ、そもそもゲルハルディ領が王都側は草原、北東辺境伯側が森、南辺境伯側が山、さらに東側には海があると、いろんな戦い方が求められるから仕方ないっちゃ仕方がないんだけどさ。


「まともな……そういえば、最近入団した団員がいますぜ。基礎段階ですから、まだ染まってないんじゃないんですかね」


「染まってないってひどい言い方。……まあ、いいや。どの人?」


「あそこでロングソードを振ってる奴でさぁ。名前はクルト」


「ふーん、じゃあ教わろうかな。父上には適当に言い訳しといてよ」


「そいつぁ、また面倒なお願いですな。ま、適当に模擬戦の誘いでもして誤魔化しておきますぜ」


 騎士団長に紹介された団員は、確かに入団直後らしく、年齢にしたら14~18歳くらい……前世なら中学生から高校生の間くらいの雰囲気だ。

 握っているのはロングソードにラウンドシールドという、この世界のスタンダードな武器で、武器の振り方や盾の出し方についてベテラン団員に指導されているようだ。


「はじめまして、クルト。俺はゲルハルディ家の嫡男で、マックスだ。よろしくな」


「領主様のご子息!?」


「おお、これはこれは、マックス坊ちゃん。騎士団の見学ですか?」


「そうそう。剣術もそろそろ習おうと思ったんだけど、やっぱり習うなら騎士団かなって」


「ふむ。領主様に?」


「あんな化け物に習ったら筋骨隆々にされるよ。普通にロングソードとラウンドシールドを使いたいなって、クルトみたいに」


「はっはっは、坊ちゃんも言いますなぁ。確かに貴族学園ではロングソードとラウンドシールドが基本ですからその方が良いですかな。私が教えましょうか?」


「それも良いけど、最初からベテランに時間を取ってもらってもね。……で、クルト、俺に教えてくれるかな?」


「わ、わたしですかっ!?」


「そうそう。年齢も騎士団内じゃ比較的近いしさ」


「ふむ、坊ちゃん。未来を見据えておられるのですかな?」


「ま、そういうことだね」


「???」


 クルトはよくわかっていなくてベテラン騎士団員は分かっているようだけど、俺が領主になるだろう10年から20年後には今のベテランは騎士団を辞めてる可能性が高い。

 クルトのような新入りも10年後には小隊長、20年後には中隊長や騎士団長になっている可能性が高いってわけだ。

 だから、青田買いってわけでもないが、今から仲良くなっておくに越したことはない。

 というか、ベテランは俺が生まれた時から知ってるようなやつばかりだから、頭が上がらないというか、可愛がられているからわざわざ仲良くしなくても問題がないというのもあるんだよな。


「ふむ、クルト。坊ちゃんに剣術を教えてやれ。お前も人に教える経験をすれば、自分の糧になるだろう」


「はいっ!」


「じゃあ、クルトよろしくね。……あ、俺はこの体格だからロングソードじゃなくてショートソードからでお願いね」


「はいっ!」


 上司の息子みたいな立ち位置だから、クルトは緊張しているみたいだけど、なんとか仲良くなって軽口が叩ける程度の関係性にはならないとな。

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