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135 久々のレナとの休日

「それで、その後はどうなったのですか?」


 今日は休日、クリスタはアイリーンからの荷物を受け取りにタウンハウスに、ローズマリー嬢は婚約者である北東辺境伯の息子が来るとのことでそちらに行っている。

 だから今日は本当に久々にレナと2人きり……なのだが、寮での事件をレナに伝えると笑われながら続きを促されている。


「笑い事じゃないんだよ。結局キンスキー侯爵令息は退学になって王領での療養になったし、それを口実にキンスキー侯爵が学園に圧力をかけてくるし」


「学園にって……貴族学園は陛下の管轄ですよね?」


「そう! キンスキー侯爵家は代々国王派だってのに、王立の貴族学園に文句を言うなんてって感じだよ。なんか教育が悪いとか意味不明なこと言ってたけどな」


 そもそも貴族学園は貴族の心構えや実務を学ぶ場であって、教育現場じゃないんだよな。

 貴族としての常識やルールなどはそれぞれの家庭で学ぶものであって、そういったものを貴族学園に求めるのは筋違い。

 自分たちが子供にかまっていなかったのを棚上げにして、学園に文句を言うなんて貴族どころか親として恥ずかしいことだと理解してほしいもんだ。


「それで、感染病の原因は分かったのですか?」


「ああ、キンスキー侯爵令息も最初はきちんと貴族向けの娼館で遊んでいたらしいんだが、最近は平民が入るような娼館や連れ込み宿で遊んでいたらしいんだ」


「では、そこが?」


「らしいな。王立の医師団がキンスキー侯爵令息が遊んでいたところを片っ端から調べて、連れ込み宿が原因だと分かったらしい」


 この話を聞いて、そういえばゲーム内で悪徳商人が経営していた連れ込み宿を主人公とヒロインがどうにかするというイベントがあったことを思い出した。

 マックスのかかわらないイベントだったし、俺には関係ないと思って忘れていたが、そういえばあのイベントは第三王女がかかわるイベントだったはず。

 先日の学園内の情事が原因で第三王女が謹慎になったからイベントが発生しなかったのか?


 だが向こうにもミネッティ伯爵令嬢という転生者がいる……まあ、転生者といってもゲーム内のイベントすべてを覚えているなんて無理な話か。

 ゲーム制作にかかわっていて、デバッグ作業で夢に見るほどゲームをやらされた俺ですら、すべてを覚えていないんだからな。


「他には学園内で感染者はいなかったのですか?」


「ああ、そちらも秘密裏に医師団が調査していたが、キンスキー侯爵令息以外の感染者はいなかったそうだ」


「それはよかったです」


 俺がキンスキー侯爵令息にかけたセンスシックだが、射程が結構ある上に対象者にはかけられていることがわからない……ま、害もないが益もない魔法だから当然だがな。

 キンスキー侯爵令息の一件があってから教師に扮装した医師団が学園内のいたるところで生徒たちにセンスシックをかけていたが、それに気づいていたのは俺とマルクス、それにエルンストだけだろう。


「まあ、とりあえずキンスキー侯爵令息関連については一件落着だ。……しかし、なんだってこう騒ぎが重なるかね」


「そういえばミネッティ伯爵令嬢も授業に乱入してきたとか」


「ああ、従者を参加させろとか言いだしてな。そちらもエルメライヒ公爵伝いに冒険者ギルドの剣術学校の紹介をしてあるよ」


「マックス様ご自身がなさらなかったので?」


「さすがに越権が過ぎるからな。ミネッティ伯爵家はエルメライヒ公爵家の傘下だし、さすがに派閥も違うゲルハルディ家が口を出すのは外聞が悪い」


「エルメライヒ公爵家に貸しひとつですか?」


「どうだろうな~、傘下の従者だからな~。養子だったりしたら話は別だが、手間をかけさせた分マイナスかもな~」


 主人公が大成したら話は別だが、そうならなかった場合は手間をかけさせただけだからな。

 ミネッティ伯爵家が……というよりもミネッティ伯爵令嬢が主人公を剣術学校に通わせるかも謎だし、通っても本来の実力は発揮できないかもしれない。

 ま、さすがにそこまで俺が心配するのは筋違い……これからどうなるかはわからないが敵対する可能性も十分にあるわけだしな。


「まだまだマックス様の周りでは騒動が起きそうですね」


「俺としては穏やかに過ごしたいんだが……」


「それは無理ですね」


 レナにきっぱりと言われてしまった。

 思えば子供のころは俺の後ろをついて周っていたレナだが、強くなったもんだなぁ。


「ま、領地に帰ってもゴールディ国との交易や辺境伯同士での取引なんかもあるし、いろいろと忙しくなりそうだよなぁ」


「精一杯支えますね」


「ああ、頼りにしてるよ」

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