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124 レナとの話し合い

「というわけで、俺に関する噂が出回っているみたいだからレナは気を付けるように」


 基本的にレナと会うのは休日にしているのだが、流石にアノ手の輩が現れた以上、情報共有は必須だ。


「そもそも、その方とお会いしたことがないのですけど……」


「俺もシャウナ男爵とは1、2度、面会したことがあるくらいで、じつは突っかかってきた男とは初対面だったぞ」


 まあ、マルクスが言うにはシャウナ男爵令息も領主・騎士科に所属しているらしいから、授業で顔を合わせているはずなんだけどな。

 正直、授業中はクリスタかマルクスが常にそばにいる状態だから、他の生徒との絡みは少ないんだよな。

 教師陣も同じような成績でグループを作るように誘導しているし、そもそも派閥の問題もあるしな。


「ま、とにかく授業中はローズマリー嬢と離れないように。寮からの行き帰りは今まで通り、俺と一緒に。昼食はしばらくクリスタも同席させてくれ」


 これまでは基本的にクリスタは俺たちと一緒に昼食をとることが多かった。

 シャウナ男爵令息と出会った時は、たまたまレナと連絡を取ってもらうためにレナ達と一緒に居たけどな。


「マックス様はどうするのですか?」


「こっちはこれまで通り、マルクスとエルンストに傍にいてもらうさ」


 俺のことを伯爵令息と思い込んで突っかかってきたシャウナ男爵令息だが、流石に公爵令嬢のローズマリー嬢が傍にいればレナに突撃することはないだろう。

 その分、俺が標的にされるだろうが、調べた限りではシャウナ男爵令息の実力じゃ、俺を力でどうこうはできないし、身分でも俺の方が格上。

 人気のないところで諍いが起これば別だが、証言者がいる状態なら一方的にこちらが悪者にされることはないだろう。


「それよりも、私とマックスの噂が出回るなんて」


 この場にはレナだけでなくローズマリー嬢にも同席してもらっていたが、そうなんだよな。

 問題は俺とレナの不仲だけではなく、ローズマリー嬢との噂が出たこともなんだよ。


「俺からも北東辺境伯家には手紙を出しておくが、ローズマリー嬢からも出しておいてもらっていいか?」


「マックスと不貞はしてないって?」


「それもあるが、噂が出回ってることに関してもだな。不貞云々がないというのは、傍に北東辺境伯に所縁があるマルクスがいるからわかってもらえるだろう」


 マルクスは別に監視役というわけでもないが、北東辺境伯の家臣だから何か問題になった時の証人としてはもってこいだろう。

 辺境伯同士は同派閥だし、取引などでも友好関係を維持しているが、別に仲良しこよしというわけでもない。

 考えが違えば争うこともあるし、世代によっては険悪な中になることもある。

 とはいえ、ありもしない不貞話で北東辺境伯との仲が悪くなるというのは避けたいからな。


「わかったわ。……あと、お父様にもお手紙を出しておくわね」


「それは助かる」


 エルメライヒ公爵が貴族学園で勝手に出てきた噂を問題にしてくることはないだろうが、取引で同席したときに聞かれそうではあるからな、

 俺からあれこれ説明するよりも、実の娘であるローズマリー嬢から聞いたほうがエルメライヒ公爵も安心するだろう。


「まあ、とにかく全員が気を付けてくれ」


「マックス様……ミネッティ伯爵令嬢が関わっている可能性はないのですか?」


「ないな」


 レナが勘ぐってきたが、それだけはないと断言できる。

 そもそもシャウナ男爵令息なんてゲーム上には登場しない人間で、ミネッティ伯爵令嬢との繋がりは存在しない。

 ミネッティ伯爵令嬢がこの世界で生まれ育っただけの人間なら、もしかしたら俺の知らない関りがあったかもしれないが、おそらくミネッティ伯爵令嬢は俺と同じ転生者。

 色々とシナリオを狂わせる行動を取ってはいるが、わざわざ知りもしない人間にコンタクトを取って、こちらにちょっかいをかけることはないだろう。


「マックス様の敵……なんですよね?」


「そうだが、情報を集めた限りではミネッティ伯爵令嬢は淑女科で交流を広げているだけで、他科にはコンタクトを取っていないようだ」


「そう……なのですね。では、シャウナ男爵令息は?」


「善意で行動しているのか、それとも何か思惑があるのか。……ま、男爵令息とはいえ貴族なんだ。何かしらのメリットを求めての行動だろうな」


 シャウナ男爵令息が本当にレナが不当な扱いを受けていることに怒りを感じただけなら、愛すべきバカとしか思わないが、そうじゃないだろうな。

 調べてみたところシャウナ男爵令息は次男という話だし、おそらくはレナをとっかかりに男爵になろうと思っているのだろう。

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