映画って、なんだっけ?
むかーし、作者の知り合いに、こんな事を言う人がいましたとさ(笑)
「我々映画研究会は、今年の文化祭で、“映画の素晴らしさを伝えるための映画”を作成し、上映する事が決定した!」
ホワイトボードの前に立つ男が高らかに宣言し、周囲から不揃いな拍手が起こる。
「より良い物を創るため、他の同好会等と合同で――と、なったワケだが……」
その男は、どこか不機嫌そうに言うと、憎々しげに室内を睥睨し、部室の一角――具体的には、私の方へと視線を向けて――
「……なぜ貴様等がここにいる?」
――と、のたまった。
ふむ。
どうやら、不揃いな拍手に気を悪くしたのではなかったらしい。
「何故って、お宅等の顧問に頼まれたから、だけど?」
「映画作るんだろ? ならコイツらのやってる事は役に立つと思って頼んどいたんだが……」
私が視線を向けると、映画研究会の顧問をしている教師が頭を掻きながら、苦笑を浮かべてそう言った。
「なんと言う余計な事を!映画とは、男優・女優による魂の籠った演技によって観る人の心を揺さぶる映像作品であって――」
「いや、それだと、この場で他に呼ばれてるアニメ研究会にも喧嘩売ってない? ほら、凄い形相で睨んでるわよ?」
「――いや、そう言うわけでは……アニメ作品にも名作は沢山あって……だが、お前達のは、そもそもが映像ですらないだろうが!」
メンチを切っているアニ研勢から視線を反らしつつ、私達への攻撃を再開してくる。
しかし、それに対しての反撃はすでに用意していた。
「映画研究会とは名ばかりで、何も分かってないのね」
「……なんだと?」
「だって“映画”とは、“画”を“映す”物なのよ? 元々はコマ送りのように連続して映す事で動きを表現していたの――」
こう言うのは、勢いが大事。
あたかもそれが100%正しいかのように、胸を張って言い切る!
「――つまり、私達がやってる事と何も変わらない! むしろ、私達の活動こそ、映画の元祖とも言えるものだわ!」
自信満々に言い切った私の言葉に“ズガーン”と衝撃を受けたような顔、顔、顔、顔!
いやぁ、気持ちいいわ~、こう言うの。
まぁアイツは、私のこう言う所が気に食わないんだろうけど。
何かって言うとすぐ突っかかってくるんだよね。
「……ぐぅ、まぁ、お前の言い分は、わかった。 だが!映像作品をこよなく愛する我々が、お前達と同列に語られる事が、我慢できないんだ! パラパラ漫画同好会さんよぉぉぉおお!」
「…………知るか。」
ちなみに、創った作品は高い評価を頂いた、とだけ明記しておく。
“映画”って、結局、何が正解なんでしょうね(  ̄▽ ̄)
いいじゃん、もう全部映画で、って思っちゃう系作者なのでした(笑)