国民投票型総理大臣選挙
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舞台は日本。国の代表者を決める制度が変更され、米国の大統領選挙のような直接国民が候補者に投票するシステムが適用された。
各政党から1名の立候補が可能であり、それぞれの政党の総裁、党首、代表などがそのまま立候補するのが恒例になりつつあった。
そして、何より国民投票で選ばれた総理大臣には、公約をそのまま法律として制定する権限が付与されるとあってどの候補者も熱意に溢れるものとなる。
「α党党首として、税金の撤廃を目指し〜」
「β党代表として、国会議員の定年制導入を推進〜」
「γ党総裁として、大胆な経済政策を実行して〜」
各候補者は、政策について議論を深めるのであった。
その中で特に国民から支持を集めている候補者がいた。
「Σ党指導者として、国民の皆様にお約束します」
生中継で公約が放送されていた。サラリーマン風の男らは、テレビから目を離さない。
「ようやく、俺達の本命が出てきたぞ」
「Σ党指導者として、国民の貯金額を2倍、税金を半額、国会議員の定数を半減、公務員の給料半額、二酸化炭素の排出半減、医療費半減、保育園の待機待ち半減〜」
テレビを見ていた男達は興奮しながら会話をする。
「やべぇぞ、貯金が2倍に税金が半額なんて夢のようだぜ」
「ああ、そうだな。国会議員も定数半減とか思いきりがいいよな」
公約を果たせない場合、当選した候補者は死罪になるだけでなく、財産没収や親族らの強制労働といった激しいペナルティが行われることとなっているため、公約の信頼性が高まるのである。
出来もしないことは、言えない言わない。その代わり実現できる事は当選するためにも過激に主張される傾向があったが、Σ党指導者は他の候補者を圧倒する公約内容になっており、評論家たちからは実行可能性が心配されていた。
制度が始まって以来の初の死罪となるかと騒ぎ立てるマスコミ関係者が多数存在した。そのおかげか、選挙の注目は日に日に増していった。
そして、ついに投票日となった。
投票率97.1%となり、国民のほとんどが投票した結果となった。
当選した候補者は、予想を裏切ることなくΣ党指導者であった。得票率99%の驚異的な数字を叩き出したのであった。
すぐさま、当選後の演説が行われ、日本全国に放送される。
「国民の皆様、Σ党指導者は内閣総理大臣として公約の実現を行って参ります。新法国民半減法を制定したことを宣言します」
演説会場内で激しいヤジが飛び交う。
「どういうことだ!」
「公約で言ってないだろう!!」
「ほらみろ、出来もしない約束するからだ」
総理は、落ち着いた口調で演説を続ける。
「私は、国民番号が偶数なので、奇数の国民は本日付で殺処分及び財産没収いたします。没収した財産は国民番号が偶数の国民の皆様で山分けいたします。国会議員も人口比率で選出ですので、自然と半減いたします。予想される税収も半額になり、人口が半分になることで二酸化炭素排出も医療費も半減します」
「この鬼畜野郎!」
総理はヤジに反応する。
「えっ、鬼畜??そんなことないですよ。選挙結果は国民の民意ですよね。国民半減法は国民の総意になるんです……」