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鏡の世界  作者: あにやん
3/9

コーヒー(2)

 ざっと回想終了かなと回想とは全く無関係の本を閉じてコーヒーを一口。うーむ。コーヒーちょっと熱かった。

 ホクロに始まり、友達いないに終わった一日。昨日の考え事の時間はホクロの存在は忘れていたけど、今朝また鏡にうつる口の左側のホクロをしかとこの目で見た。昨日奇妙な一日を総合して考えてみる。ホクロと友達、普通……結び付くはずがない。そこにリンクはいらない。ホームページじゃないんだから。

 楽天家ではないが神経質でもないので、大したことない話を深刻に考えてみようとは思わない。昨日の出来事なんていつの間にか頭から消え去るだろう。きっと重要じゃない問題だから。

 ところがここで終わらないから世の中憎いというか、面白いというか。今度こそ、ちまたで話題となっているこの書物虜に自分もなってしまおうと意気込んでみた矢先、目の前に例の友人が現れた。本当に人生って飽きない。コーヒーを片手に愛想良く挨拶しながら寄ってきた。面白い面白い、同じものを注文したか。あれ、ブラックコーヒーだよ。何故かブラックが優位というイメージがあり敗北感を覚えた自分をよそに、友人は苦笑いしながら言った。

「砂糖もミルクも入れたら飲めない。恥ずかしいけど。」

よし、きた。予想を裏切ることなく、昨日のままでわけがわからない。いや、むしろ嫌味として言っているのか。だとしたらなかなかタチが悪いけど、そんなやつだっけ?挨拶に軽く返事をして観察してると本当に恥ずかしそうに飲んでいた。熱いのに早く飲みほしてしまいたいようだった。恥ずかしいならそんなの頼まなきゃいいのにと呑気に突っ込むより、もっと気になるのはブラックコーヒーって恥ずかしいのかという点。今までの自分の常識が覆された気分だ。今自分が全く知らないうちに甘党ブームでもきているのか。それでも恥ずかしいことはないだろう。自分はブラックコーヒーにかっこいいイメージはあってもそれを飲めないことを恥じたことはない。嗜好は人それぞれだ。極端でない限り人目を気にすることはないだろう。

 目の前に座っているこの人、さらに興味深いというか奇妙な言葉を続ける。

「ブラックコーヒー飲む人って大人って感じでしょ。だから人より優位な感じがして嫌なんだよね。かっこいいって思ったでしょ?そういうの恥ずかしいな本当。」

ついに自分の頭はパニックに陥ってしまった。助けてください。理性。


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