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鏡の世界  作者: あにやん
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変わってる


 「変わってる。」という台詞が妙に頭に焼きついてはなれない。今日言われたんだよな。まったく、好きなものを好きって言って、嫌いなものを嫌いって言って何が悪い。あ、悪いとは言われてないか。変わってるって言われただけか。

 にしてもこれは実に便利なコメントではないか。馴染みないものにはとりあえずそう言えばいい。自分は変わってるんだな。「普通だね。」って言われるのもあまり良い気持ちにならないけど、普通と変わってる、どこから区別されるんだか。大多数の意見が普通なのか。皆で間違ってたらどうするんだ。太陽が回ってると言ってた時代を考えてみなよ。いつだって少数派はなかなか認めてもらえないんだから。

 とにかく自分は自分の思うことを信じたい。かといって“出る杭”になるつもりはない。打たれるなんて厄介だもん。自分は目立ちたいと思ってるわけではない。そこのバランス、難しい。

 でもさほど真剣に悩むべき問題でもないので、今から全然違う話するけど最近顔にホクロができた。前はなかったのに口のすぐ右に一個。シミの成れの果てかい。どんなに鈍感な人でも顔の黒い点を見過ごすまい。見過ごす人は変わってる?いや、そんなことはどうでもいいから。このホクロは新たなチャームポイントにしようと思う。この話もこれでおしまい。

 こんな自分はこの世界で大衆の中の一員として生きている。極端な現実主義者ではないしそれほどロマンチストでもない。でも流石にファンタジーと人生が交わることは期待していない。それらは別々の存在として楽しめばいいものとして位置付けている。

 だから次の日起きてびっくりした。チャームポイントが移動しているではないか。そこまで観察してるのかと問うまえに、最後まで話を聞いてほしい。右にあったホクロが今は左にある。ちょっと鈍感な人なら気づかないかもしれないけど、チャームポイント認定をした者としてはなかなか衝撃的な出来事だ。しかし、だからどうしたというのか。鏡の国に迷い込んだのか。洗面台の鏡の向こうにいる方が本当の自分?我ながら想像力豊かだと感心しながらも、本当の自分だろうがホクロが移動した鏡の自分だろうが、一生懸命生きていけばいいと思うところまでにとどまった。細かいことは気にすまい。ホクロ移動事件、解決。もしかしたら初めから左だったのかもしれないという追求はあえてしないでおく。なんでって、めんどくさいから。何せ、これから予定がつまっているので、そのことで頭はいっぱい。




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