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最期の結末





「―――きたか」

「……あぁ、兄さん……お久しぶりですね」


 そうして、魔王城を進み、私たちは再開しました。

 玉座の間の一歩手前……そこにかなり風変りした兄さんが鎮座しています。雰囲気は刺々しく、そして恐ろしい。


「理亜……お前は、昔から狂っていた。それを兄である俺は止めることができなくて……俺が不甲斐ないばかりに」

「なにを言っているんですか。私が勝手にしたことで、兄さんはただ――あの場所で、静かに暮らしていればよかったんです」

「……勝手だな。お前は、いつもそうだ」


 いったい、いつ記憶が戻ったのか……そんなことはどうでもいい。

 ただ、これから私は兄さんと――――



「じゃあ、いくぞ」

「ええ……そうですね」


 そうして、兄さんは私の光の剣のような黒い、闇の剣を出現させこちらに切っ先を向けると一気に駆け寄ってきて……私は纏っている反射の光鎧を当てにしてなにもしません。


「くっ――」

「無駄です。光魔法はの光は、すべてを拒絶し跳ね除ける……何人であろうと、この防御を突破することは叶いません」


 しかし兄さんは何度でも攻撃してくる。

 なぜか絶対を誇るこの光の鎧を貫通して……闇の剣を振るってくる。


「俺の闇魔法は、全能――不可能はない」

「……そういうことですか」


 どんな魔法にだって、その先がある。

 それは光魔法も闇魔法も関係ない……ということなのでしょう。反射無効に、防御貫通……ならこちらだって、そんな全能の力を反射させてやりましょう。



「なぁんちゃって……!」


 私は黙って攻撃を受けるふりをしつつ、光の剣で兄さんの剣を弾き飛ばして首元に剣を突きつける。

 そうして、そのまま動きを止めたところで……久しぶりの兄さんの感触を楽しんでいく。


 思い切り抱き着いて、まず匂いを嗅ぐ……前世の頃から変わらない。優しくて、温かい匂い。

 ……ああ、これが私だけのものになると思うとぞくぞくする。


「やめっ、放せ!」

「いやですっ! 絶対に放しません!」


 昔みたいに、こうして口喧嘩だってできる……なにが狂ってしまったかといえば、きっと私のせいなんでしょうね。

 でも、自分の心に嘘はつけません。

 どうしても兄さんがほしかった。


 ――でもきっと、それを兄さんは望んでいない。


「手に入らない……なら、せめて私が――」

「……っ、ふざけるな! もう、俺からお前に渡すものなんてなにもない!」


 憤る兄さんは、私を魔法で突き飛ばすと……再び剣を作り出して、私に襲い掛かってくる。

 それを私は光の剣で撃退――



「なっ!?」

「そんな、兄さんを傷つけるなんてこと……するわけないじゃないですか」


 私は魔法をすべて解除して、兄さんに胸を突きさされている。

 ごふっ、と血を吐けば……もう、命が尽きかけていることがわかってしまう。


「ど、どうして……なんで、お前はいつも斜め上なことをするんだよ」

「だって……兄さんが私のものにならないなら、私が兄さんのものになるしかないじゃないですか」

「っ、理亜ぁ!」


 泣きそうな兄さんに、私は最期の魔法をかける。

 ほら、いつも言っていましたよね。光と闇は相反するけど、常に隣にあるって。


「だから、私は兄さんの魔法になるんです……ああ、これでずっと永遠に……」



 これで、一生ずっとです。



「【光の継承】」



 ―――そうして、私は兄さんと一つになれて……幸せに、なりましたとさ。









「ふ、ふふっ……」


 それが、私が仕向けた結末の一つであることを知らないままに。

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