第二十一話 海の支配者②
――準備も終えて、私たちは海辺にきていました。
いまだに、リヴァイアサンには気付かれていないようですが……いつ気付かれてもいいように私とリン様は防御魔法を展開できるようにしてあります。
……そして、
「【限定起動:土塊の魔水晶】!」
マキアさんが、切り札を使用します。
魔力が爆発的に集まり……マキアさんが続けて、『収束』という、土属性のその先を使用します。
『海の底』から、地面を地上に『収束』し……そこを足場にして、リヴァイアサンの下まで駆け抜ける。
船が使えないなら、足場を作ってしまえばいいんです。
「――!! 【水面の大地】!」
水が押し上げられ、まるで大地がそこに新たに生み出されたように……そう錯覚するほどの光景でした。
これがたった一人の少女が為したと思うと……魔法って、神の力だと勘違いしても不思議ではないように思えます。
けれど、その消耗は激しいようで……ふらついているところをアレクくんが支えて、アリスさんがマナポーションを飲ませています。
『ギュアアアアア!!』
「……っ! きます!」
「―――【氷花絢爛】」
「【光の盾】!」
閃光がとどろく。
前よりも強力な威力で私たちを襲いますが……二人がかりで踏ん張って、なんとか凌ぎ切る。
「今です! 突撃!」
「おう!」
攻撃の要は、アリスさん、アレクくん。この二人です。
私とリン様は、防御に専念し、一撃でもかすれば蒸発しそうな三人を死ぬ気で防いでいく。
「んぐっ、ぷはぁ!」
時折、マナポーションを口に含むながら、魔法を展開していく。
私とリン様で先頭を切って、リヴァイアサンの下まで走っていく。……予想以上に、消耗が激しいですが、そこは気合でなんとかカバーです。
……兄さんを守る。そうイメージすれば私はどこまでも強くなれるのですから。
想像の中でも、後ろに兄さんがいると想って……――私の光の盾はさらに強くなる。
「っ、……!」
リン様のほうもかなり負担がかかっているようで、……けれど意地でなんとか食いつないでいる。
そうして、かなり進んだところで……
『ギュアァァァ!!!!』
ようやく、リヴァイアサンの姿を捉えることができました。……そこで、安心してしまったのか、私たちは両方とも魔力切れで倒れてしまう。
「! ディーリヤさん!?」
「…………だいじょう、ぶです……それより、次の攻撃がくる前に……」
「はい! あ、これ置いておきますね!」
といって、私とリン様の分までマナポーションを置いていき……三人はリヴァイアサンの下に向かっていくのでした。
――わたしは負けるわけにはいかない。
だって、わたしを励ましてくれた人がいる。
わたしの憧れである冒険者がわたしたちを前にやるために、必死で守り通してくれた。
だからこそ、わたしは負けることを許されていない。
「いくよ、二人とも!}
「ああ!」
「うんー」
わたしはすっかり回復した魔力を並々つぎ込んで、リヴァイアサンの周辺の水気を『収束』させて手元で枯れさせていく。
物質問わず、土魔法の真価とはこういった地形を利用した戦法だ。
なので、せっかく整えた土のフィールドを再び水で溢れさせるわけにはいかない。
「アレク!」
「おう、【火炎裂波】!!」
剣を炎でまとい、アレクは炎の斬撃でリヴァイアサンを吹き飛ばす。
相変わらず雑で豪快なアレクだけど……そこをいつもサポートしてくれるのは、
「【ウィンドシュート】」
アリスだ。
彼女は、水辺にいかないように風魔法の弾丸で軌道修正して……再び、アレクの方に向かうように仕向ける。
繊細な魔法操作力は、惚れ惚れしてしまう。……わたしも負けていられない、と鉄の槍を作りだす準備を始める。
「『収束』――!」
そうして、作り出した鉄の槍をリヴァイアサンの脳天を貫くのだった。




