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第十六話 リングベル・フィーアスの実力③



 ――私のしていることは単純だ。

 ただ細かく砕いた氷を口や鼻といった箇所から体内にいれて、引っ掻き回したり……血管に入り込めるくらいに細かくして体の内側から凍らせたりと……そんなことをしているにすぎない。

 一度手の内がばれれば通じないような戦い方だけど……こうした魔物相手だととても有効な戦い方ではある。


「……ディーリヤには、まさか光の熱で溶かされるとは思わなかったけど」


 たいていは全身を隙間なく覆ったり、凍らされる前に倒そうとするのに……ほんとうにあの子は不思議だ。

 それに発想がおもしろい。

 この前なんて「光魔法って応用が利くんですねー」なんていって、魔法史上初となる映像の透写に成功しているし……たしか、写真……だっただろうか? 映像を紙に映し出す魔道具も開発してしまっていた。

 本人はそれを不満気に「……これも、違う」なんて言って、映像をリアルタイムで監視するなんていう軍が使いたそうな魔法に数えられそうなものを開発していたけど……あの子はどこにむかっているんだろう?


「っと、危ない」


 私は頭上から降り注ぐ巨大な足をバックステップで大きく避けつつ……変幻自在の氷の剣で切り付けていく。

 成長する前なので、皮膚はあまり固くないようで……いともたやすく刃が通る。

 私は更に、攻撃性を増すために左手にも剣を作り出して、さらに切り付けていく。


「……っ、【砕氷開花】」


 切り傷の隙間から、展開している砕氷の種を仕込み……体の内側から咲かせていく。……どうせ咲かせる花なら綺麗なものを咲かせてあげたいけど、ここは攻撃を優先するために棘だらけの可愛くない花になってしまった。

 私は、背後の砕氷が砕かれたことを察知して、前方向へ加速して……振り返り、作り立ての剣を投げて、ドシンと地震のような衝撃を感じながら、その氷の剣を基点に、刺さった箇所を凍らせていく。


 これで、二匹目。

 すでに仕込みも終えている個体を数えたら、四匹になる。


「ふ、ぅ……っ。【血氷けっひょう凍結】」


 血管に入り込んだ氷のつぶてから、連鎖的に内部から凍結させていき……やがてその凍結は心臓まで行き届く。

 そうして、四匹は倒れていき、私はそれらの首をはねていくと……最後に残ったベビーモスは怒り狂ったように、声をあげ……私に向かってくる。


「は……あまい」


 私は、もう余力を気にする必要はない……と、思い切り全魔力の半分ほどを込めて……その首を撥ねる。

 これで終わり。依頼は達成されたので、ディーリヤたちのところに戻ろうとすると……なにやら、不穏な魔力を感知する。

 この鋭く、人を嫌悪させるような……魔力。


「まさか……」


 無事でいてくれ……

 そんなことを思いながら、私は急いでそこまで駆けていくのだった。



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