強力なスキルに代償は付き物
「即死……討伐、成功だ!」
即死したモンスターは光となって消えていく。
普通のモンスターよりも多くて、強い輝きを放っていた。
その光が、一気に俺のマギアへと収束する。
「ッ!」
今までこんなことは無かった。
心が満たされて、モータルが強くなった、そんな気がする。
能力のイメージよりも曖昧だったが。
(それでも、この光がウイルスが蔓延るようで気持ち悪くなるのも気のせいだろうか?)
それも気に留めるほどじゃない。
今は清々しいんだ。体も軽く……て、
「グ、ウ……」
突然倒れてしまう。
さっきみたいに力が入らない、生命力を失った抜け殻みたいに。
頭も重くて、靄が入ったみたいに何も考えられない。
(どう、して……)
「やったな光さ、おい! 光坂! どうしたんだ! おい!」
頭を抱える俺を心配してるらしい。
けど、もう、だめだ。力が、抜けて……
意識が朦朧としている中、俺が最後に見たのは、
歪みまどろんだ友達と世界だった。
「う、う……」
目が覚めると真っ白い天井が見える。
(ここは、もしかして……保健室、学校か?)
それ以前に、何でこんなところに……
そうだ! 俺は竜のモンスターと戦って、それで……?
妙に討伐した後のことが思い出せない。
さっきまで戦ってたことは思い出せるんだが……
「あ! 起きたみたいだね」
不意に強い光が視界を遮る。
眩、し……い?
「わ、綿ァ!? 何でお前がいるんだ!」
「何でって、百華に頼まれたんだよ。光坂君を看とけってね。あと綿じゃないよ!」
百華……そういえば神波百華って言ったか……
いや、そうじゃなくて!
「お前は一体何なんだ! それに、あの後どうなったんだ!」
「あぁ、自己紹介がまだだったね……」
空飛ぶ綿は、辺りをぐるっと回る素振りみせる。
「私は神波律葉! 百華の姉にして……元・人間だよ?」