条件付きの即死との想造の欠片
俺は剣に力をこめる。
莫大な量の闇が圧縮されて、刀身が燃えるように熱くなる。
だが、威力は前の倍以上だ!
「もう一度喰らいやがれ!」
エネルギーで大きく振動する剣を押さえつけて、勢いよく振り下ろした!
「ライト・ブレイカー!!」
竜を超える闇が巨大な津波となって襲い掛かり、全てを喰らいつくす。
今度は効いたようで、図太い体が後方に引き下がった。
ライト・ブレイカーを撃った瞬間、不思議な感覚に見舞われる。
今、この瞬間、踏み込めば強力な力が使えそうだ。
初めてのことなのに強い自信がある、何とも言えない感じ……
(ッ!?)
脳裏に具体的な剣技が浮かぶ。
今、踏み込めば使える力。
ライト・ブレイカーから派生できる強力な術技!
(体が軽くて、底からもっと力が湧いてくる。それに従って、思いのまま力を振るってやる!)
俺は更に力を込めて、思いついた術技を叫んだ。
「ブラック・イデアリズム!」
思いっきり空を薙ぎ払う。
その瞬間、地面から紫色の尖った結晶が無数に出てきて竜の胴体を貫いた。
(す、すげえ! ホントに思い通りになった!)
一瞬で紫の結晶を形成する剣技。
それが思いついた剣技なんだが、出来てしまった。
俺に、こんな力が……
だが、まだ、まだこの不思議な感覚が続く!
さっきみたいに剣技を思いついて体がもっと軽くなる。
そして頭はどんどん戦闘の高揚に駆られる。
「今の俺なら、何だって!!」
俺は剣を槍状に変化させて、右足で大地を蹴る。
竜の頭に一直線に跳躍する。
このまま弱点を貫く。
だが……
身動きの取れないはずが、炎ブレスを吐く直前だった。
(ま、まずい! これじゃあ鉢合わせに……!)
急ブレーキしようにも加速した体は止められない。
(こうなったらどっちが先にやられるか勝負だ!)
急ブレーキ出来ないのは興奮も同じだった。
怪我を負う恐怖を頭の隅に追いやって一か八かの賭けに出る。
すると、一本の魔法矢が竜に刺さり、炎ブレスが不発になる。
これは、透磨の支援だ!
優位になった状況を理解して、剣技を叫ぶ。
「バッド・エンド!」
ブラック・イデアリズムで生み出した結晶ごと頭を貫いた。
目にも止まらぬ急所突きをする大技。
貫いたとき、モータルが強く発光する。
死の宣告、即死条件クリア!
「これで終わりだ!」
高所から落下していく中で、モータルの力を解放する。
その瞬間、モンスターの纏っていた邪悪な気配が強まり、モンスターを即死させた。