解き放つ最強の力
俺がアンリーシュと叫ぶと、モータルが変化していく。
刀身が曲がりくねった歪な形に変形して、剣の鍔に大きな目玉が浮き出る。
正直に言うと、若干気味が悪い。
「うわあ! け、剣がなんか変な形に」
「アンリーシュ成功だよ。それにしても、気持ち悪い……きゃあ! その目がこっち見た! ぎょろって!」
日本語を喋る綿?がモータルを見て驚いてるみたいだ。
それは俺も同感なんだが……
(これは、イメージ? もしかしてモータルの能力か?)
曖昧で抽象的だが、自然とこのモータルの能力の内容が理解できる。
この能力は……!
「光坂君!」
綿の注意で戦闘に集中する。
なんと竜が炎ブレスを吐く直前だった。
「危ねえ!」
横に跳躍して回避する、つもりが……
「う、うおおおああ」
軽く蹴ったつもりが、町の建物よりも高く跳んでしまった。
叫びながら落ちていくが、どうにか両手両足で着地する。
「いってえ、え、あれ? 痛くない?」
高所から落下したのに打ち付けられても痛くない、それどころか傷一つも。
更に竜の剛腕が迫ってくる。
咄嗟にガードする。
高い音共に腕が簡単に弾き返した。
「す、すげえ! 全然痛くない!」
「今ならあの硬い鱗にも、攻撃が効くはずだよ!」
「分かった。透磨! それから神波!」
俺はみんなを呼びかける。
「能力を使うために、こいつの体力を削らないといけないんだ! もっと言うなら半分以上!」
「妙に具体的だな。だが分かった! 援護くらいならしてやるよ!」
「それが能力の条件なんだね? なら私も……!」
神波が突進してモンスターに攻撃する。
するとモンスターの動きが遅くなった。
「私のマギアで動きを遅くしますから、存分に攻撃してください!」
頷いて、モータルの能力を使う。
こいつの力は……
「死の宣告!」
発動すると不気味な気配がモンスターに乗り移った。
死の宣告、モンスターの体力が半分以下で強力な術技を喰らわすと、相手を即死させる、らしい。
多分、合ってると思うが……
「グッ!」
死の宣告を使ってすぐ、自分の体に異変が起きる。
力が、少しずつ抜けていってる……そんな感じがする。
マギアを握る力が弱まってるような、そんな違和感が。
何となく、感覚的に分かる。これは多分、体力が徐々に失うみたいだ。
(早く、けりをつけなきゃいけない、ってことか)
俺は剣を握り返した。