アンリーシュ
「ウ、グ……強い……!」
一撃がさっきより重い。
図体に見合った攻撃力もあるってことらしい。
だが、何よりその防御力だ。
(ライト・ブレイカーって俺の一番強い技だったんだが……)
自賛してたわけではないが、それでも全く効いてないように見える。
もしかして防御力じゃなくて闇属性に耐性があるのか?
「光坂! 避けろ!」
透磨が叫んで瞬時に左に避ける。
「なッ」
俺が立っていた場所は炎で燃えていて、道路が歪に変形していた。
(あ、あっぶねえ!)
強力な炎ブレス。
よそ見してたらあっという間に真っ黒こげか。油断できない。
竜のモンスターはやっぱり強い、けど……!
高まる胸の高揚……バクバクな心臓に冷や汗で冷静になる頭。
白熱した戦いってのはホントに……!
「このモンスターはすごく硬い! 私の攻撃も効かなかった!」
神波が攻撃を避けながら話す。
「じゃあどうすれば!」
「……竜の弱点は皮膚だが、どこに攻撃しても意味はなさそうだ」
「アンリーシュを使ってください!」
「アンリーシュって……無理だ! 俺にはまだ出来ない!」
アンリーシュ……マギアの能力を解放する技。
性能が爆発的に上昇して固有の能力を使うことが出来る。
だが、習得してないし、学校でも使える人なんて先輩くらいしか……
「仕方ないですね……おね……これを使ってください!」
神波は身に纏っていた光を手に取って、俺に向かって豪快に投げつけた。
「うおっと」
ふわふわと浮かんでいた光が剛速球で飛んでるのに驚いて、どうにか体で受け止める。
もこもこ
(つ、掴める!? 光なのに掴めるぞ!!)
綿みたいに柔らかくて、もこもこしている。
もしかしてこれ……光じゃなくて綿だ! 綿が光って……!
その瞬間、俺の常識が覆された。
「ちょっ! 強くつかまないで! 痛い痛い!」
「キエエエ! ひか、いや、綿が喋ったああ!」
思わず綿?を手放す。
急降下したかと思うと、ふわふわと浮かんでいき俺の周りをぐるぐる回る。
「落ち着いて落ち着いて! えと、光坂君、だね? 早速だけど君に力を貸すよ!」
「え?」
謎の綿が強く発光したかと思うと、突然体の底から力が湧いてくる。
この力は一体……?
「今の君なら使うことが出来る! さあ! 君のマギアの力を引き出して、こう叫ぶんだ!」
俺のマギア、暗黒剣モータルをの力を引き出す……!
「モータル・アンリーシュ!」
その瞬間、右腕ごと漆黒の闇がモータルを包み込んだ。