能力を持つ特殊モンスター
「あれが、今回のモンスター、なのか」
一つ目の巨人、いわゆるサイクロプスと呼ばれるモンスター。
竜に負けない分厚い壁の様な肉体と、大きな棍棒を担いでいる。
だがそれよりも、
「凍ってる……町全体が!」
見る景色全てが白銀の世界。
町の建物は氷で覆われて、道路は霜が降って凍てつく。
冬でもないのに寒いし、地面に足がくっつく。
「なあ、通雷先輩。これがまさかモンスターの……」
「ああ、能力と見て間違いないだろう。見たところ天候じゃなくて物を凍らす能力か?」
「堀井会長……何が微妙ですか! 相当強力ですよこれ!?」
町全体を凍らせる能力。
モンスターがこんなことできるのか!?
俺はモータルを展開してサイクロプスへ突進する。
「モータル・アンリーシュ!」
アンリーシュの力で、即死の力が解放される。
だが、まだ使わない。使ったらぶっ倒れるかもしれないからな。
(サイクロプスの一撃はデカいが、その後は隙だらけだ!)
俺は跳躍して避けようとする。が、
サイクロプスは俺じゃなくて足場の地面に叩きつける。
すると、そこから氷が飛び出してきた!
「危ねえッ!!」
飛び出す氷塊を、どうにか空中で体を捻って避ける。
氷は数メートルまで地面から飛び出していた。
能力による攻撃、だけど範囲と威力がデカいだけだ。
元々サイクロプスの一撃は強力なんだから、ヒット&アウェイで戦っていけば……!
突然、サイクロプスは天に向かって咆哮する。
空気を震わすほどの轟音に、思わず両耳を塞ぐが、
「ッ!?」
咆哮した瞬間、モンスターの足場から氷が生成されて、氷の足場を更に覆った。
俺の足も凍らされて一歩も動けなくなる。
(グ、このままじゃ!)
サイクロプスの棍棒が、今度は俺に確実に迫る。
その瞬間、
蒼くメラメラとした何かが目の前に現れて、攻撃を防いだ。
「光坂、ぼおっとしてんじゃねえよ!」
それは蒼炎剣イラプトを片手に持った通雷先輩だった。