#06 信号破壊(アインストール)
ブックブラッドの基地である廃研究施設に侵入したソコで現れたのは、力量操作を無効化する第3位の能力者だった。
第3位が嘲笑を浮かべる。
嘗めやがってコイツ、いったい何をした。
「知ってか?…無能力者ってのは器なんだよ。」
「テメェ、何の話をしてんだァ?」
質問に第3位は戦闘中というのに余裕の表情で答える。
「つまり超能力ってのはバッテリーと初期のアプリケーションソフトを組み込んだ媒体って事だ。
その媒体に入った初期アプリケーションはアインストールは不可なのは知ってるよな、だいたいの超能力の初期アプリケーションは単純な能力使用ソフトだが…お前は違う、お前の初期のアプリケーションソフトは言わばアプリ製作とインストールやアップデートなども行えるダウンロードソフトだ。
つまり初期アプリケーション使いあらゆる能力をインストールしているってのがお前の能力のタネだろ?…って事はインストールされたアプリはアインストールも可能って事なんだよ。」
「おい、つまりどうゆう意味だコラ?」
第3位は勝ち誇った表情で言う。
「俺様の初期 能力はウイルスソフトと同じだ……対第2位用の能力、《信号破壊》なんだよ。」
だからかよ、さっき俺に攻撃が当たったのは……。
俺を殺す為に作られた能力って事か、へぇー面白いじゃねぇか。
「だったら俺を本当に倒せるんだよな?…じゃあもう手加減いらねぇよな!」
千欧は第3位に向けて圧力をかけ圧死に追い込もうとしたが両手の力なのかソレを軽く打ち消す、チッ…めんどくせぇな、なんか策はないもんか。
急に視界が暗くなる――――――身体に力が入らない。
強烈な痛みで目を覚ます、目の前には知らない男が俺を蹴り付けていた。そうか、恐らく薬の効果が切れたのか。
「まさか第2位に化けた変身系能力者だったとは……おい、黙ってねぇで第2位の居場所教えろゴミカス。」
この状況で『僕だよ…。』なんて言っても信じてくれないよなぁ。
「そうか、答える気がねぇなら……」
第3位の大きな両手が千欧を押し潰す。
僕って誰だっけ、僕っていったい何だっけ?
僕は……いや、俺は――――――――――俺は超能力第2位の惣野千欧だ。
(コイツ…俺様の両手を素手で……。)
立ち上がった千欧の目は蒼かった。
第3位はただならぬ力を感じ取っていた。
「おい、お前はまさか……そうだろ! やりやがったな。お前はウイルス排除及び防御、耐性のソフトを《信号変更》しやがったな? なぁそうだろ!?」
千欧は掴んでいた両手を引き、上へとブン投げた。
そして相手の近くに移動し、第3位の顔面に拳をねじ込んだ。
赤い両手が同時に消え去り、千欧の蹴りを受け第3位は崩れる様に倒れる。その時、急な頭痛に見舞われ俺もその場に倒れ込んでしまった。
何とか第3位を撃破したのは良かったが、千欧は何故か意識を失ってしまった。