表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

(2)B 2018年1月

(承前)


 コーヒーを手にして立っていた陽子ちゃんが加美に聞いた。


「加美さん、放送委員会の仕事はどんな感じ?」


 加美は懸案事項が片付いた昨年秋過ぎから放送委員会に誘われて地元や学校の歴史など掘り起こす番組作りにのめり込んでいた。桜井碧委員長がスカウトしてくれたおかげだ。

 こいつの考える政治とはより多くの人と話をして分析する事で成り立っている。それは報道にも通じるものがあった。

新聞委員会の清沢編集長も加美に目を付けていたらしいが、放送委員会の方に行った事を考えると桜井委員長の方が加美さんへのラブコールは一枚上手だったという事なのだろう。


 加美はよくぞ聞いてくれたという感じで反応した。


「学校の歴史を調べてますがとっても面白いですね。最初の制服改革って不思議な展開を辿っていて……そういえばある雑誌編集長が当時の生徒自治会長だった人で」


いきなり古城がコーヒーを飲む手を止めて咳き込んだ。


「古城さんによろしく、なんなら取材に一緒に来たらいい、覆面記者さんの顔を見てみたいから是非連れて来てくれ、それを条件にしたいぐらいだと真剣に言われてましたけど、古城先輩、一緒に行きませんか?」


 古城は苦笑していた。


「去年ね、ちょっと気になった事があって調べたら運良く分かって新聞委員会のふりして電話で話をしただけ。それもその場で謝ってから話を伺ったのだけどね。まさか覚えてくれていたとは」


 いやあ、それはマジか?


「古城、それは電話を受けた先輩が忘れるなっていうのが無理だぞ」


 古城は時折ぶっ飛ぶ事をやらかす事があるのはわかってるけど、これは流石にやり過ぎじゃないかな。会長としては遵法精神を説く側にいるし実際、制服改革対応が終わった頃には「清き古城には佳人と鉄仮面しかいない」なんて事をかげ口を言われているのは聞こえて来ていた。そういう奴が嘘をついてしまう事があるというのは不味かろうと思う一方で人としての面白さを感じる。


「それにしても先輩一人で突き止めるとか凄いですね。放送委員会の取材チーム、あの先輩の事を突き止めるの苦労していたみたいなんですよ。姓が変わってましたし。下の名前と高校名で新聞データベース検索して突き止めましたけど」


 あー、この言い方だと放送委員会でその人の事を突き止めたのはきっと加美に違いないな。


 ようやく気を取り直した古城が加美洋子に聞いた。


「ところで加美さん。年間スケジュールといえば6月は出てくれるのかな?」


 加美洋子は窓の外、遠くの方を見やった。口にした言葉はその場にいた面々にとって意外なものだった。


「やりたい事が出てきたのでそちら次第かもしれませんね」


 ふり返ってみんなの方を向くとそう言って加美は笑った。その場にいた執行部の2年生全員、1年生最強の政治力と報道力を持つ加美のこのセリフの意味を深くは考えてはいなかった。冗談だと思っていた。


 問題は加美は冗談とわからないような冗談を言う事があるという事だった。この事を何故忘れていたというのか。我ながらどうかしていた。




2018年度県立中央高等学校生徒自治会長選挙日程

告示日:6月1日(金)/立候補受付期間6月1日(金)〜7日(木)

選挙活動期間:6月8日(金)〜14日(木)下校時刻まで

政見放送:6月11日(月)昼休み時間中

投票日:6月15日(金)朝のH.R.に各教室で実施


(2018年度中央高生徒自治会年間スケジュールより抜粋)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ