ER = EPR
量子テレクローニングの実現には、まだまだ時間がかかりそうだ。 劣化コピーでもマインドアップロードが可能なら、 2100年以降に地政学的変化が起こる。
ブラックホール情報パラドックスは、解決可能なのだろうか? もし物理的情報が失われ回収不能ならば、エネルギー保存則も因果律も破れ、 クローン禁止定理を回避する方法があるかもしれない。
ブラックホール情報パラドックスとは、ブラックホールに落ちると、物体の情報は事象の地平線で遮断される。このためブラックホールは目で見て観測できない(ブラックホール脱毛定理)から、質量、電荷、角運動量以外の情報は失われる。すると量子力学の前提である、ユニタリ性が失われてしまう、というもの。つまり、量子力学が成立しなくなるというパラドックスである。
何がいいたいかというと、事象の地平線を越えて量子テレポーテーションを行えば、量子状態のコピーが行える可能性がある、といいたいのだ。 ブラックホールに飛び込めば、完全なマインドアップロードが可能かもしれない。
それというのも、竹内薫氏のこんなコラムを見つけたからである。
http://kaoru.to/s_column/s_column20.htm
こんな以前から、ウォール街は動いているのだ。 日本など、遅すぎて話にならない。問題外の遅さだ。竹内薫氏のコラムでは、否定的なようだが、それも過渡期であり結論は出ていない。いずれにせよ、マインドアップロード実現の可能性はあるということだ。これは、ポストヒューマン、つまりトランスヒューマニズムにつながる。簡単にいえばイーガンの「ディアスポラ」の世界なのだ。
クローン禁止定理は回避できるかもしれない。 事象の地平線ではそもそも情報が失われているから、ユニタリ性が成り立つかどうか不明。ユニタリ性が不成立ならば量子の存在確率は保存されないから、コピーが可能である。ならば、カーブラックホールを利用して二つの特異点をエンタングルメントすれば、ワームホールができないかと考えてたら、すでに論文になっていた。
「ER = EPR」理論である。
https://www.quantamagazine.org/newfound-wormhole-allows-information-to-escape-black-holes-20171023/
とにかく、ワームホールの理論的根拠が構築できれば、 マインドアップロードどころか、物質転送が視野に入ってくる。
これが何を意味するか。 今までの地政学理論が全て瓦解する。軍事理論は再構築が必要になるうだろう。実用化は2100年以降だと思われる。核融合炉の方が早そうだ。
ちなみにこの「ER = EPR」理論、日本と関係がある。笠-高柳公式と関連しているからだ。そのせいか日経サイエンスでもとりあげられている。
http://www.nikkei-science.com/201701_026.html
日経サイエンスの記事にも書いてあるが、要するに量子コンピューターを量子操作マシンとして使い、ワームホールを利用しよう、という流れである。 量子コンピューターというとすぐシンギュラリティの話題になるが、別の文脈なのだ。
LHCで余剰次元が確認されたという話は聞かない。 カーブラックホールはワームホールがらみで引用されることが多いが、 一方で高次元ブラックホールが研究されている。
高次元ブラックホールの一種の、5次元ブラックホールが提案されている。
https://wired.jp/2016/02/22/five-dimensional-black-hole/
高次元ブラックホールと「ER = EPR」理論がどのように関連するか、非常に興味深い。
今世紀中に余剰次元が発見できるか。もし発見できたらER=EPR同様、世界が変わることになる。 一方、発見できなければ、核融合炉実現の時点で開戦確定かもしれない。