三、邪魔
「いってきます!!」
今日も優菜は誰もいない家にむかって言うと、元気に歩きだした。私はだらだらと。いつもの朝。退屈な朝。数えきれないくらい数える気がうせるくらい繰り返されてきた朝。
「今日はいい天気〜天気がいいと夜月がきれいになるんだっけ?なるといいな!なったら月見しようね!」
優菜がめちゃくちゃなことを言うのは日常茶飯事だ。
「優菜、今日は何日?」
「え〜と7月12日かな?いいの!月見は秋には限らずだよ!!見れるときに見とくんだよ」
一理あるが夏の夜に月見など暑くてたまらない。私は暑いのが苦手だ
「するったらするんだからね!まっまるお月さま〜」
「今日は新月だ」
嘘をついたというか適当言った。しかし優菜はすぐだまされる。
「ええっ!嘘、月出ないのお!?」
「大丈夫ですよ。月はでます」
後ろから声がした。この声の主は・・
「美智ちゃん!本当〜よかった!」
橋本 美智子。メガネをかけた黒髪長髪少女。優等生タイプ。なぜフルネームを覚えているかというと、こいつは私たち・・恐らく優菜のファンかなんかでプチストーカーだからだ。嫌いなやつの名は覚えないが嫌いすぎるやつの名は覚えてしまう。
「学校まで一緒に行ってもいいですか」
お前断っても行くつもりだろ。
「いいよ」
優菜は断らなかったが当然、気乗りはしていないようだ。
橋本 美智子、彼女の存在は私たち二人にとって邪魔だった。
彼女の顔を見るたびに
私は言いようのない怒りに支配される。
支配、純粋なる支配。
完璧なる支配。
もう引き裂いてやりたい
でも、きっとそう優菜に告げると彼女は微笑んで言うだろう
「私は殺してやりたい」