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第2話

(念のため)登場人物及び用語解説


ミーチャ:

本名ディミトリ・ノクターン。特に電子機器の扱いに長けている。果物たっぷりのパイが大好物。


アイザック:

ミーチャと身体を共有するもう一つの人格。ミーチャが必要と判断した時、鏡で自分の眼を見つめることによりアイザックと交替する。日頃は冷静沈着な堅物だが、ミーチャの頼み事と自分の弱みを握る者からの脅迫は断れない。


成分サーチ:

範囲内の物体の組成を他の電子機器に影響を与えないレベルのごく微小な電磁波、及び超音波をドローンから発することによって解析し、目的とする物体に近い組成の物体の場所を把握するシステム。……というか、アイザックにより発明された物探しツールと理解して頂ければ十分です。

僕はパン屋を飛び出しました。周囲の人達は僕があんまり血相を変えて走って行くので驚いていたみたいですが、僕はそんな事に構ってはいられませんでした。そりゃそうです。僕の明日の朝食がジューシーなアップルパイになるか、味気ないバターロールパンになるかの瀬戸際だったのですから‼︎


「アイザック‼︎ 街全体をサーチしましょう‼︎」


近くの広場で手提げ鞄からノートパソコンとサーチ用小型ドローンを取り出すと僕は言いました。冷静に思い返せば、たかが1ピースのアップルパイの為に街全体に成分分析サーチをかけようとするなんて。僕は何をしていたんでしょう。


〈……はぁ⁉︎〉


一間おいて、アイザックはそう言いました。実に彼らしい反応です。しかし僕は頭に血が上っていましたので、アイザックの当然の返答にも耳を貸さず、懐中時計の蓋をぱちりと開けました。


「今は時間が惜しいです、アイザック、お願いしますっ‼︎」


その言葉以上に、僕は蓋裏の鏡越しにアイザックを威圧する眼差しを向けました。少なくとも僕が覚えているうちで、アイザックにそんな強い態度を取ったのはそれが初めてだったように思います。


〈……おいおい、正気かよ……〉


唇を引きつらせながらも、アイザックはすんなり交替してくれました。使い慣れた四角縁の眼鏡をかけ、ノートパソコンを開き、ドローンのスイッチを入れると、アイザックは猛烈な勢いでキーボードを叩き始めました。ドローン操作自体は僕にも出来ますが、今回のようにスピードが重要な場面においてアイザックの力はやはり偉大だと痛感させられました。パソコン画面はみるみる英数字で埋め尽くされ、間もなく街の全体図がぽんと浮かび上がりました。


「……アップルパイの成分に近似する物体を確認した。えー……この近辺に三箇所。そのうち一つが、この広場の西側を南方向へ移動している。ちょうどお前の腰の高さあたりだ。奴がアップルパイを買ってからそんなに時間は経っていないし、おそらくこれだろう」


アイザックはもう呼び出すなと言いたげな目つきを鏡に残し引っ込みました。交替した僕は満面の笑みを浮かべました。


「……上出来ですよ、アイザック‼︎」


パソコンを乱雑に畳み、信号を失って落ちてきたドローンを空中でタイミング良くキャッチすると僕は小躍りしながら駆け出しました。

裏ペクトラ劇場:


ミーチャ(以下D):もう、作者は更新が遅いですねぇ‼︎(そわそわ)

ウィル(以下W):作者は夏がとてつもなく苦手なんだ、勘弁してやってくれ。

D:あれ?今日はえらく大人しいですね?

W:……気のせいだろ。俺はいつも通りだよ。

D:いや、気のせいじゃないでしょ。いつものウィルなら僕と一緒に罵倒するじゃないですか。

W:……すまん、今はちょっと……。

D:リンゴですか⁉︎リンゴの摂取が足りなくて元気がないんですね⁉︎ちょっと待ってて下さいっ‼︎

W:おい待てよ‼︎……いや、トイレ我慢してただけなんだが……。

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