第1話
本編が進まない事に苛立ちやってしまった。後悔はしていない。
これは彼らと僕らの出会いの物語。
彼との出会いは、それはもうドラマチックで…と言いたいところなんですけど、全然そうでもないんですよね。はい。
思えば昔から無茶苦茶やってましたねぇ、彼は。本当に嫌になりますよ。君もそう思うでしょ?アイザック。
*
僕、ことディミトリ・ノクターンはその日、明日の朝食に食べるパンを買おうと思いお気に入りのパン屋さんに来ていたんです。
「…あ、今日のアップルパイは中身がいっぱいだぁ‼︎」
その時の僕は、大好物の甘いパイが今日のおすすめの棚にのっている事にすっかり舞い上がっておりました。ええ、間違いなく目も心も奪われていました。彼のトングが僕の目の前で最後の一個を掴み上げていく、その瞬間まで。
「…あ〝あ〝‼︎」
思わず僕は呻きとも叫びともつかない声を上げました。だってそうでしょう?僕にとってそのパイは明日の朝食になる筈で、僕の一日のエネルギー源になる筈だった食料で、いやそんな事はともかく自分の舌を満足させてくれる至福の恵みだった筈なんですよっ⁉︎
…いや失敬。つい興奮してしまいました。コホン。
とにかく、です。僕はそのトングの主を悲しみと恨みを込めて睨みつけてやりました。
…それなのに、それなのにです‼︎彼は周囲の人間が僕の顔をまじまじと見つめる中、全くの知らん顔でレジに行ってしまったんですよ‼︎きぃぃ‼︎信じられませんっ‼︎
「ちょっと君‼︎その最後の一個のパイ、僕にくれたって良いじゃないか‼︎」
…と叫びたいのを我慢しましたよ僕は。結局早い者勝ちなんですよね、悲しい事に。でも僕は慌てません。そのパン屋さんがおすすめ商品をコンスタントに棚に入れてくれる事を知っていましたから、数時間後に来れば大丈夫大丈夫!
「…ごめんよぉ、今日のリンゴは仕入れ値がバカ高くてねぇ、もう作れないんだ。」
…パン屋のおじさんの一言で、僕は立ち上がりました。
さっきの少年、何が何でも見つけ出すと心に決めて。
裏ペクトラ劇場
ミーチャ(以下D):やりましたよウィル!
ウィル(以下W):何が?
D:僕が主役です‼︎
W:そうだな。
D:…ははぁ、さては嫉妬してるんですね?僕の人気がうなぎ登りになる事を懸念して。心配いりませんよ‼︎僕は別に自慢しようとか思ってはいないのですから‼︎でも人気者なのも…(以下長文のため割愛)
W:(…あらすじのとこといい、上の台詞の省略されっぷりといい、作者からの扱いが相変わらず酷いのは黙っておいてやろう。)