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カレーで異世界制覇  作者: 黒犬
スパイスと出会い
5/26

血の根とスパイスの知識

  先ほどの一代決心の後、すぐにキャンプ地に着いたので、

 バルさんとアニスさんに血の根がどういう物か詳しく聞いてみて、

 薬以外では使われてない事が分かった。


 やはり店のお婆さんが言っていたとおりで、風邪の時に絞り汁を飲み物に混ぜて飲むのが一般的で、

 味の感想を聞くと、


 「辛い、筋が喉にひっかかり不味い」

 「甘い飲み物に入れたらまだ飲めるんだけどね」

 「・・・・まずい」


 やっぱり風邪の時に飲まされた記憶があるせいか苦手意識が強いようです。

 という事で好物に混ぜて薬を飲ませる作戦で行きましょう。

 

 火の準備をしてフライパンを温めて猪の脂身入れ、油が出てきたら刻んだタマネギと村で貰ったキノコを入れ、血の根のすり下ろしたの入れた漬け汁に馴染ませていた豚肉を入れて炒めていきます。

 漬け汁の焦げたいい匂いが辺りに立ち上りみなさんの目も釘付けです。

 豚や猪は火をきちんと通さないと危ないのできちんと炒めて塩で味を調整して完成です。


 「出来ました。イノシシの血の根焼きです」


 皆さんのお皿に盛りましたが、昨日と同じでなかなか一口目に手が出ないので自分が始めに、

 視線が口に運ばれるお肉に集まります。

 その視線を受けながらがぶりと、


 「うん、美味しい故郷の味です」

 

 豚に比べて脂身の部分が多い気がしますが、その脂身が甘いです。

 それに血の根の持つ辛味と果実酒の甘味がマッチして白米が無いのが悔やまれます。

 肉の脂と漬け汁の辛味と甘味の加わった野菜も格別です塩気もちょうどいいです。

 見ると皆さんも一心不乱に食べています。


 「うまっ、なんだ昨日のカレーとは違う辛さと甘さがあっていくらでも食える!!」

 「脂身のぷりぷりとした食感がたまらない、野菜もキノコも!!」

 「おにく!!」


 フライパンがいつの間にか空になったのでお替り作るか聞くと。


 「「「いる!!」」」


 漬け込んでいた肉が無くなるまで作って、皆さんが満足した様なので聞いてみます。


 「みなさん、どうでした?」

 「ああ、こんなにイノシシが美味しいなんて知らなかった」

 「本当に異世界の料理はすごいわ」

 「おにくおいしかった、やさいも」


 上手く行きました、はじめの一歩目から失敗しないか不安でしたが。


 「ありがとうございます、でも今日の料理はあの村の食材だけで作ったんですよ」

 

 三人とも不思議そうな顔をしています。やはり今日も何か特別な物を入れて作ったと思っていたようです。


 「じゃあ、明日も食えるのか?」

 「血の根をたくさんありますし、イノシシや果実酒もたくさんありますから」


 三人とも嬉しそうにしていまが、やはり少し気になる事があるみたいなので、


 「この血の根という植物なんですが薬であると同時に薬味なんですよ」

 「薬味って食べ物の匂い消しや付け合せの?」

 「はい、この植物は僕の世界ではショウガと呼ばれています」

 

 『ショウガ?』 


 約三千年前から利用されてきた古い歴史があるスパイス、カレーでは肉の下味や炒めて香り出し等に使われる。ピリッとした刺激や爽やかな辛味が特徴で、中華の薬膳でも使用され、薬味などで様々な食材を引き立てる。


 「薬としてももちろん効果はあるんですが、どうも偏った効果と使用法が広がったみたいです」

 

 実際に発汗作用もあり風邪の初期症状の時などに効果ありますが、絞り汁を飲むというのは。


 「アニスさんが言っていたみたいに甘い飲み物と飲むのもいいですが、頭に薬という認識があると、いくら味が良くてもなかなか美味しいとは思わないですし」


 アニスさんもうなずいて同意してくれます。

 

 「美味しくて食べるだけで健康にもいいというのがスパイスです。こんな物をみんなに食べて貰いたいんです」

 「アムもこんなおいしい、くすりならたべたい!!」


  アムちゃんの頭を撫でて思い出した事がありました。


 「みなさん甘いものは、お好きですか?」


 移動中に乳鉢でスパイスを砕いていたのを忘れてました。

 それにお砂糖を混ぜて、パンに振りかけて焼くだけなんですが。

 せっかくなのでデザートにも合うスパイスがあるのを皆さんに知ってもらいましょう。

 

 三人とも軽く焦げたパンの表面に透明な粒と黄色い粉がかかっているのを不思議そうに見ている。

 すると甘い物が好きなアムちゃんが一口。


 「あまいあとふしぎなにおい」


 それに続いてお二人が同時にパクリ。


 「甘すぎないし懐かしい香りもするな」

 「あら本当に甘さも控えめで、美味しいし不思議な香り」


 それに昨日のギーを塗るとコクが出て美味しいと言ったらもう一度焼くことに。

 食べ終わったのでこのスパイスを見てもらいましょう。


 「木だな」

 「木ね」

 「き」

 「これがシナモンというスパイスです」


 クスノキ科の樹皮を乾燥させたものでニッキともいう。生薬として用いられるときには桂皮と呼ぶ。

 ほのかな甘味と爽やかな香りが特徴で、カレーをはじめ様々な料理にも合い。菓子作りにも使われたりする


 「このスパイスは砕いたシナモンに砂糖を混ぜたシナモンシュガーといってお菓子なんかに使います」

 「スパイスって色々なものがあるのね、昨日は葉っぱで今日は根っこに木の皮」

 「木の実を使うのもあるのでそれを加えると無数にあります」


 本当に無数にあります、カレー作るのに必要な野菜やスパイスもまだまだあります。

 持っているスパイスの在庫にも限度があるので、採れる場所が分かればいいのですが

 カレーとスパイスの神様助けてください。


 「思い出した、懐かしい匂いだと思ったら故郷にこんな匂いの木あった」


 神はいました。



日本人が好きな定番スパイス料理です

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