表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カレーで異世界制覇  作者: 黒犬
スパイスと始まり
16/26

禁断の組み合わせ

 

 パールとモミジは仲が悪い。


 原因はエチゴ屋で作ったイナリズシが原因だ。

 始めに作った試作品を食べさせた時はまだ大丈夫だったが、

 クズハさんに出す分を持って行っている間に、パールがモミジの取っていた分を食べたというのが発端になり今に至る。


 自分が油揚げ料理を作りに厨房に行き、トーフの水気を切っていたら悲鳴が聞こえ見ると、

 空になった皿を愛しい人の形見のように抱き倒れているモミジ、それを見てパールが、


 「余っていたから食べたんだけど」

 「余っていたんじゃなくて、取っておいたんです!!」


 今から作る試作品の味見をモミジに食べさせる、という事で何とか機嫌は直ったが、

 今度はパール「ずるい」とへそを曲げてしまい。

 それを見たモミジがその試食の物を、パールの前でわざわざ美味しそうに食べ感想を言うという攻撃に出て完全に泥沼化。


 

 そして今に至ります。



 再会の挨拶をしている2人に、困った表情のトンさんが放って置くと話が進まないので、


 「えっとモミジはエチゴ屋の仕事で来たの?」


 冷たい表情を瞬時に笑顔に変え、


 「はいケイタ様、トンおじ様これが御前からの手紙です」


 懐から手紙を出して手渡す、トンさんは手紙の封を開け中身の内容を確認する。


 「この内容で間違いはないね」

 「はい問題ありません。それと御前からお土産が、トンおじ様とケイタ様の感想を聞いて来いと」


 風呂敷から黒い重箱を出し蓋を開くと、中からイナリズシが出てくる。


 「試作品ですがどうぞ」

 「ああ、頂くよ」

 「そうだ。アマトのお茶を淹れて来ますので少しお待ちを」


 そう言い部屋の外に出て行こうとし、振り向く、


 「間違っても、お茶が来る前にお手を付けないで下さいね」


 妙な迫力の篭もった笑顔で釘を刺すモミジ、そのまま頷く事しか出来なかった。


 

 

 同じ数を4人で分けて皿に載せ、余った分はトンさんが食べるという事で分配は終わり味見する。


 「うん、モミジ美味しいよ。少し味が濃い目だけど」

 「やっぱり、少し濃いですか出汁の味を考えて少し薄めに」

 「これは好みの問題になるからエチゴ屋の定番になる味は任せるよ。モミジも食べたら?」

 「すいません、ケイタ様の感想を聞いてからじゃないと不安で、では私も」


 自分のイナリズシを食べようとしてモミジが固まる。

 

 「パール、私のオイナリ様が減っている気がするんだけど?」

 「気のせいじゃない?、私はケイタの味付けの方が好きだけど」

 「一度ならず二度までも、いい度胸ね!!」


 何かバトルが開始されそうなので、自分の分のイナリをモミジにあげて怒りを沈めたが、

 何故かパールに睨まれる事になる。

 一心不乱にトンさんは無言でイナリを食べています。


 「モミジ、一般販売用はこれでいいけど、お土産用ならご飯に工夫を加えようか」

 「ご飯ですか?」

 「うん、刻んだタケノコや山菜、キノコとかで食感や風味に変化をね」

 「なるほどいい考えです。帰ったらすぐに試してみます」

 「あと付け合せに、ショウガの酢漬けとか」

 「ショウガですか?」

 「ごめん、血の根の事なんだけど、その名前だと誰も食べ物と思わないから」

 「なるほど、ですが調理法を皆さん知らないですよ」

 「ちゃんと使えば、すごく美味しい食材なんだけどね」

 

 「でしたら、昼飯にそれを作って貰っていいですかね!!」


 なんかすごい迫力でトンさんが提案してきたので、他の人達を見るとすでに確定の様で、

 諦めて調理場を借りることにした。


 すごい笑顔のトンさんに案内され調理場に到着すると、

 広さも、設備、保存されている肉や野菜から調味料も各種揃っていた。


 「こんな場所借りるんで、トンさん他に何かリクエストありますか?」

 「それならカツを頼むよ。油も含め全部あるはずだ」

 「何のカツでもいいんですか?」

 「ああ、牛でも豚でも鳥でも魚でも野菜でもカツなら何でもいい」


 完全に揚げ物中毒のようなので、ショウガ料理とと揚げ物系で行きますか。


 「ケイタ様手伝います」

 「ありがとう、ご飯炊いてもらえるかな」

 「かしこまりました」


 モミジが割烹着を着て手伝ってくれるので、自分はショウガでも擦ろうかと思いおろし金を探していたら、


 「ケイタ私も手伝う」


 エプロンを借り、パールも手伝いをすると言って来たが疑問があるので聞いてみる。


 「パール料理出来るの?」

 「ケイタが来るまで家の料理は私が作っていたから大丈夫」

 「無理しない方が身の為ですよ」

 「モミジ何か言った?」


 睨み合いに発展しそうなので、ショウガの摩り下ろしを頼み、自分は揚げ物の準備と肉の下拵えをする。

 ショウガ料理の定番とリクエストの揚げ物の組み合わせでいこう。


 調理場の傍にに使用人の人達が使う、食事や休憩をする部屋があるので出来た料理を運んでいく。


 4人分のご飯と箸を3膳とスプーンとフォークが一組、テーブルの中央にショウガ料理の定番『豚肉のショウガ焼き』が鎮座する。


 「これがショウガを使った豚肉のショウガ焼きです」


 食べる前に手を合わせて、


 「「「「 いただきます!! 」」」」


 皆さんが一切れ豚肉を取り口に運んでいく、入れた後はご飯を口に入れ。

 豚、米、豚、、米のエンドレスで食べ続ける。

 自分も一切れ食べ、ショウガの持つ辛味や風味、ショーユ、ミリンの出す、塩気や甘味を含んだ豚肉を口に含んでご飯を掻きこむ。

 懐かしい故郷の味に、


 (バル父さん、アニス母さん、アムちゃん達にも食べさせたいな)


 など思っていたら、多めに焼いた豚肉の山はすでに無く、3人共ご飯の上や取り皿に確保していた。

 みんなが食べ終わるのを見てから、


 「どうでしたか、ショウガ焼きは」

 「素晴らしい味だ、肉も美味いが何より米との組み合わせだ」

 「ええ、ショウガは素晴らしい食材です。この風味や辛味は薬味でも使えます」

 「まあ、美味しかったんじゃないの」


 ではリクエストの揚げ物系を持ってきますか、


 「では揚げたてを持ってくるので少しお待ちを」


 15分ほど掛けひたすら揚げ物を量産して油を切っていく。

 それを皿に載せ持って行く


 「お待たせしました。揚げ物の盛り合わせです」


 テーブルの上に、ショーユや塩などの調味料を置き、調理場に戻る。

 せっかくなので揚げ物とご飯の組み合わせも味わってもらおう。




   ◇   ◇   ◇ 


 先日の食事会で出された料理に血の根が使われていたのは、牛の肉汁の中から感じ取れたため隠し味や匂い消しの様な使い方であると予想してたが、実際は自分の予想を大きく超えていた。

 

 「これがショウガを使った豚肉のショウガ焼きです」


 ご飯の前に置かれた瞬間、ショウガの香りが自分の食欲を刺激する。

 一切れ口に入れた瞬間ショウガの辛味や香りが広がり、漬けていた汁の塩気や甘味が加わり思考が止まる。

 無意識にご飯を口に入れ一緒に噛んでみると味が劇的に増加する。


 (これは単体で食べる物ではなく、ご飯と一緒に食べる事で完成する)


 他を見ると自分と同じ結論に達していて、皿の上の肉を取り皿やご飯に乗せ始めている。

 自分の分を確保するべく同じように皿やご飯の上に乗せ食べる。

 できればご飯のお替りをしたいが、本命のカツが来るので泣く泣く残っているご飯で我慢する。

 食べ終わった後に、感想を聞かれたが衝撃の所為か普通の事しか言えなかった。

 するとカツの準備をしに行くと席を立ち、時間にして15分ほどして。


 「お待たせしました。揚げ物の盛り合わせです」


 見ると様々な物がカツになり皿に乗せられている、ショーユと塩を置き再び調理場に行く。


 取り皿に各種揚げ物を取り、小皿にショーユと塩を入れ、何も掛けずに食べてみる。


 一つ目は魚の揚げた物で口に入れた魚の身はホロホロと崩れ実に美味い。

 ショーユを掛けると、ショーユの持つ風味と絶妙に合い箸が進む。


 2つ目は野菜を衣に付け揚げた物のようで何も付けずに食べてみる。

 油と野菜の持つ甘味が合わさりこれも美味い、これには塩を掛け食べる。


 3つ目は、肉を揚げた物を一口サイズにして食事会のカツより厚めに切られているのを食べてみる。

 口の中に油と肉汁が広がりそれを咀嚼し飲み込む。豚で作られたカツの美味さに震えが来る。

 塩を付け肉の甘さを感じ食べていく。


 どれも美味いが自分は豚のカツが一番好きだと思い取り皿に取ろうとすると、

 2人の少女が自らの分を取り合っている。


 「モミジ何魚のやつばかり取っているのよ」

 「パールもタマネギの取り過ぎ」


 自分のカツを確保しようとしたら、厨房からケイタさんが戻ってきて、


 「カツ丼です。食べてみて下さい」


 蓋の付いたどんぶりを持って自分の所に置いていく。

 蓋を取り中を見ると、卵で閉じられたカツが乗っている。


 一口サイズに切られたカツを口に運ぶと、甘辛いたれが衣に含まれ美味い。

 見るとカツの下にはタマネギとご飯があり、たれを含んで湯気を上げている。

 この食べ物もしょうが焼きと同じで一緒に食べる物だと感じて、口の中に同時に入れて食べてみる。

 

 (完璧だ!!)


 これほど調和の取れた食べ物を食べた事がない、気が付くと自分はどんぶりを持ち、掻きこむ様に食べている。


 「とんおじ様!?」


 モミジさんがこちらを見ているが、気にしてなどいられない。

 本来こんな器を手に持ち掻きこむ様に食べるなど、マナー違反だ。

 自分はマナーや作法などは五月蝿いのだが、我慢が出来なかった。

 瞬く間にどんぶりを空にして呆然とし、すぐに正気に戻り口元を拭き謝罪する。


 「失礼みっともない所を見せたね」

 「とんでもない、あれがどんぶりの食べ方ですよ」




   ◇   ◇   ◇



 丼を掻きこむ事により味だけではなく香りや熱などの要素も加わるとより美味しくなると説明して、


 「これにショウガの漬けた物を一緒に召し上がるとより美味しいですよ。漬物はモミジの方が詳しいと思うのでお願いしないといけませんが」


 ショウガの良い所の説明も忘れない。食べた時の効能や利用法なども一緒に、


 「モミジさん、ショウガが必要なら用意するから御前に伝えてくれ。米の種籾と米の栽培を指導できる人間を教えて欲しいと」

 「トンおじ様、米の栽培を始める気ですか?」

 「ああ、米を大陸の主食に加えたくてね。アマトだけではなく大陸で栽培できる様に研究しないといけない」

 「わかりました、帰り次第お伝えします。ところでショウガの方の栽培は――――――――――」


 2人が今後のショウガと米の栽培と流通、調理法など話しているが、


 「あの、他にも丼のメニュー用意したんですが食べますか?」

 「「「 食べる!! 」」」


 いつかの再現の様な気がしたが、カツ丼以外にも親子丼、牛丼なども作り、イナリズシのお礼に油揚げを卵で閉じた衣笠丼など作って振舞う。


 「私はカツ丼が一番美味しいと思うのだが」

 「卵と鳥の組み合わせの親子丼が一番相性がいい」

 「断然、衣笠丼です」


 自分は牛丼派だなと思い食べていたら無性に紅ショウガが欲しくなったので、自作で作るのもいいかなと思って派閥争いを見ている。



 数ヵ月後、黄金の豚商会が栽培に成功した『血の根』を『ショウガ』という名前で販売始め。

 広大な水田で米の栽培を始めるのを知るのはまだ先の事である。




次回はカレー作りに必要な物が、


少し文章などを勉強しながらの投稿になるので少し不定期になります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ