ユウの学園内での初バトル
俺が廊下を歩いていた時、丁度、ユウがトイレから出て来たところだった。その時、一人の女の子がユウに話し掛けようとしていたのでとっさに曲がり角に隠れ、一部始終を見送ることにした。
『あなたが、風見乃 ユウさんよね、私は水蓮寺 京子ランクはD属性は青よ。あなたに決闘を申し込むわ』
ユウは構え、技を放とうとした。
『風の』
『え、ちょっ』
これはまずいと思い、俺はとっさに飛び出した。
『ユウ、ちょっと待ったー』
ユウは技を中断した。
『どうしたの火山 業』
『学校で戦う時は、誰でもいいから教師の立ち会いの元に行なうものだぞユウ』
『そうなんですか』
ユウは知らなかったようだった。今日は、正式に決闘ができる授業がなかったからだ。
水蓮寺さんが、教師を見つけ、
『おーい先生ー』
来た教師は、英語担当のエーデル・クラワイト先生だった。クラワイト先生は、能力が知られておらず、全てが不明とされている先生だ。元々、能力を持っていないとのウワサもある。
水蓮寺さんが先生に許可の申請をした
『クラワイト先生、決闘の許可を』
『ワカリマシタデースショウニンシマース』
先生が許可した瞬間、二人の上に体力ゲージが現れた。二人にもお互いの体力ゲージが見えているようだ。
学園内で、バトルをする時は、教師の許可と立ち会いの元、学園内決闘システムが作動し、瞬時に体力ゲージが現れ基本的にゲージがゼロになったら負け、もしくは、3分の制限時間が過ぎた上での体力ゲージの残りで決着が着く事もある。そして、システム作動中はどんな技を食らっても、痛みはあるが、怪我をしないので、安全面を考慮しこのシステムが導入されている。
お互いが見合い、先制を決めたのは、ユウだった。
『風の刃』
見えない空気の刃が水蓮寺さんを切り裂いた。
『うっ』
水蓮寺さんはうめき声を出した体力ゲージが6割も削られていた。
『く、相手の属性が緑でダメージが大きいにしろ、ここまで削られるとは思いませんでした。さすがは、ランクBそのランクは伊達じゃないですね』
水蓮寺さんは手のひらを前に突き出し、
『まだまだ終わりじゃないですよ! 水流!』
水蓮寺さんの手のひらからものすごい激流が飛び出した。
だが、ユウはギリギリまで引きつけ、
『風の刃』
ユウの正面で、水流が二つに分かれ、ユウには当たらなかった。
『うそ!』
水蓮寺さんは驚いていた。
そのままユウは、
『空気爆弾』
水蓮寺さんの周りの空気が濃縮し、爆散した。
『くっう、うぐぅー』
水蓮寺さんの体力ゲージが一気にゼロになった。
『オツカレサデシター』
と言い、何処かに行ってしまった。
『あなたとても強いのね。風見乃さん』
『…』
『…』
沈黙が続いた。
『じゃあ、握手でも』
と、手を差し伸べた。
ユウはその手を取り、握手を交わした。
『あなたもとてもやりますね、あと、呼ぶなら、風見乃さんではなく、ユウと呼んでください』
『ユウさん』
『それでいいです。』
言葉を交わし、教室に戻っていった。