謎の転校生
俺は花が散り、緑に色付いた桜並木をどうにか間に合えという思いで走り抜けていた。校門に着いたその時
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴ってしまった。
間に合わなかった。
だが、そのまま走ろうとした時、
『おい、まて』
『は、はい』
やばい、一番みつかってはいけない教師に見つかってしまった。龍山 吾郎先生だ。校則の番人とも恐れられている。国語の教師でランクB 龍に変身する能力『龍変化』を持つ。
『遅刻だぞ、次したらどうなるか分かっているな?』
龍山先生は、指をポキポキと鳴らした。
『すみませんでした。今後、気をつけます』
と頭を下げて謝った。だが、龍山先生は、何かに気がつき、
『お、転校生じゃないか』
全く聞いていないようだった。だが、俺は隙を見計らって逃げ出した。まだ、5月だというのに汗だくだった。
そして、教室前に着いた。
息を荒げながらも、教室の後ろのドアを開けてこっそりと入って行った。俺の席は窓側の後ろから2番目だ。そして、その後ろに剣がいる。氷華は、真ん中の列の真ん中にいる。
俺は、席に座ろうとした時、
『遅刻ですよ火山君』
ばれてしまったようだ。風蘭 葉先生に見つかってしまったようだ。
風蘭先生は、俺のクラスの担任で理科の教師ランクCで、植物の成長を促す能力を持つ。
『すみませんでした。少し人に絡まれていて』
『そうですか、でも、許しませんよ』
教室に設置されている電話がなり始めた。
『みなさん静かにしてください』
と、言って電話に出た。
少しした後、受話器を戻し、
『みなさん、遅刻していた転校生が来たみたいですよ。』
少し経った後
『それでは、転校生を紹介します。どうぞ、入って下さい』
ドアが開き、入ってきたのは、静かな雰囲気で小柄な女の子だった。
て、え?
『あ!お前!』
つい、取り乱してしまい、立ち上がり叫んでしまった。
そしてあの子は、俺に気づき、
『火山 業さんですね。また会いましたね』
俺は、驚いた、まさか、あの子が、転校生だったなんて。
『あなた達、知り合いだったのですか?』
風蘭先生が声をかけた。
『はい、さっきあったのですが』
『えっと、では転校生の紹介に移りたいと思います。風見乃 ユウさんです。能力は空気中の酸素や二酸化炭素を操り、主に刃を作ったりできる『空気の創造者』です。ランクはBです。みなさん仲良くしてあげてください』
風蘭先生は風見乃に合図をした。
『よろしくお願いします』
頭を下げて言った。
『では、席は、顔見知りのようなので、火山君のとなりね。武田さん、一つ後ろにずれてください。』
『はい』
武田さんは、後ろの席に変わった。
『では、あそこに』
『はい』
風見乃さんは、席に着いた。
『ね、ねえ風見乃さん』
俺は風見乃さんを呼んでみた
『その呼び方はやめて』
え、なんで?俺は疑問に思った。
『じゃあ、なんて呼べば』
『ユウって呼んで』
いきなり下の名前かよ
『ユ、ユウ』
『そう、それでいいです』
俺は気になり、聞いてみた。
『なんで下の名前なの?』
『…』
ユウは黙り込んでしまった。
『言いたくないなら、無理には聞かないけど』
『…』
まあ、いいか
『お父さ』
『はい、風見乃さん、火山君静かに』
ユウの言葉は遮られてしまった。
『はい、すみませんでした』
ユウは黙り込んでしまったが、俺は素直に謝った。
『風見乃さん、返事は?』
『…』
ユウはうつむいてしまった。
俺はすかさず、フォローした。
『あなたは黙っていてください私は、風見乃さんと話しているのです』
風蘭先生はため息をつき、
『もうしょうがないですね。今回は許しておきます』
と、言ったあと元の話に戻していた。
俺はさっきの言葉が気になっていた。