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懐かしい、夏の終わりのこの感じ

作者: 一河善知鳥

 夏なのに暑くないのは風がびゅうびゅうと吹いているからだ。

 じじじ…って虫が鳴いてる。

 夏の匂いが地球から。


 今年は花火をやってないけど、変わりに空に星が浮かんでる。

 それはなんだか、ばーんって大きな音でキラキラ光る花火が散る寸前みたい。

 ちょっとわかりにくいけれど、うん。きっとそんな感じ。


 今年も夏はなんだかいい気持ち。

 朝は暑いけれど、夜はさわさわ涼しい。

 田舎の夜は闇ばかり。田舎の夜は虫ばかり。

 だけどあたしは小さい頃からそれが夏だった。


 ちょっと昔、大好きだったあの人と歩いた田んぼの中の道。

 稲が風を映し出す。

 向こうには山。背には住宅街。

 無音の世界は気持ちいいよね。


 夏って一年に一回くる。

 当たり前だけど。

 

 夏ってちょっと焦ってしまう。

 素敵な出会いなんか期待して。

 青春。青い春だけどね、夏だってそれはやってくる。


 夏ってあたしを寝かせない。

 それは長い休みがあるからかな。

 よくわからないけれど。


 夏って外にいたい。

 暑いのに、ちょっと変わってるのはあたしのほう。


 そんな夏。

 今年はこの辺でお別れかな。

 また来年。きっと会えるよ。

 とにかく今は、南に行って、オーストラリアでクリスマスを過ごしなさい。

 でっかい、見えない季節に命令してみる。

 

 からからと笑うけど、本当はちょっと寂しい。


 だけどまぁ、秋もせかせかとしてることだし。

 稲の一部はもう黄金になってる。

 それになんだかお腹もすいてきた。

 残ってたスイカでも食べるとしよう。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  序盤の擬音語、めっちゃ好きです。  めっちゃ自然が脳裏に浮かんできます。  大変よきです…… >夏の匂いが地球から。  この表現。人工じゃない、地球がくれる、夏の雰囲気が出てて好きです…
[一言] 田舎の夏の爽やかさが写真を見るように伝わってきます。貴方の性格まで読み取れるよう。 でも贅沢言うなら、「写真」ではなく「絵画」で表現してみては?もっと抽象的、比喩的表現を盛り込むと、この詩は…
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