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小説を書こう!  作者: 小説家の集まり
第一回 テーマ:観察
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テーマ:観察 ”部屋の住人” 作者:ムーギネーター

どうしても考え付かずこんな物しか……


本当に済みません……


(誰もいない、か……)


 自身の視界に広がる風景を見て、俺はそんな事を思った。今が連休の真っ昼間と言う事も原因なのだろう、閑静な住宅街はまるでゴーストタウンの様に人の気配を感じさせなかった。


(馬鹿な連中だな。休みにわざわざ人込みに入って疲れに行くなど)


 心中で毒を吐くと共に、俺は椅子に腰掛けた。視界には趣味で育てた鉢植えが綺麗な桃色の花を咲かせつつ日の光を受けた葉に因って鮮やかな緑を醸し出しており、己のインドアな趣味が原因で酷使した両の目に優しい癒しを与えてくれていた。俺に言わせれば、良く分からない名所で人にもみくちゃにされるよりもこう言った物をじっくりと見る方が万倍疲れを取るのに効果的である。


(落ち着くな……。ココの所レポートだ何だで休む機会も無かったし、今日はゆっくりするか……)


 そう決めると、俺は瞼を閉じて眠りに落ちた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(寝たな)


 目の前の椅子で僅かな寝息を立てている人物を見て、私は少し安心した。幾ら私を育ててくれている人間であっても、視線を注がれ続けて良い気になる者などそうはいまい。とは言え窓際に置かれた鉢植えに植わっている『私』には口が無いからそれを言う術は無いし、顔も無いから不満の意思を表す事さえ出来ないのだが。


(にしても……相変わらず殺風景な部屋だな)


 改めて動けないなりに自身の視界に入る部屋を見渡して、私は正直な感想を持った。部屋には彼自身が必要とする物が潔癖と呼べる位に整然と並べられているだけで、見ていて面白みの持ち様が無い程だった。


(止めだ止めだ。こんな事をしていても退屈になるだけだ。外でも見て気を晴らすか)


 心の中で気持ちを切り替えて、私は外へと意識を向けた。


 外には燦々と太陽が照りつけ、季節に合わない気候を生み出していた。

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