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小説を書こう!  作者: 小説家の集まり
第三回 テーマ:憎めない人
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テーマ:憎めない人 “自分の生き方” 作者:音操

 彼は自分が嫌いだった。

 彼は自分の在り方が嫌いだった。

 だから、少なくとも他の誰かには自分のことを好きでいて欲しい。そう願った。


 そんなまるで赤の他人の事を指すように語ってはみても、結局はそれが自分の事だとは当然わかってる。

 だが、そこを悲観する事は出来ない。俺が自分が嫌いでも、自分のこの在り方いわば確定してしまっているような物だ。正直、今更どうにもならない。

 なら勝手に悲観するな、人はそう言うだろう。だが、人とは時に自分を嫌いになる時があるだろう。

 恋愛の時叱り、勉強の時叱り、喧嘩の時叱りと。


 自分の在り方を嫌いになったのはいつだったか。振り返ってみれば、自分が知らず知らずの内にやっている事の意味を気がついた時からか。


 ようするに、『媚を売る』自分が嫌だった。不良との縁を切れず、友達が勝手に別れていく時もただ自分に危害が無ければそれで終わりだった。

 確かに、悪い話じゃない。不良との縁は悪く言えば邪魔な物だがまず敵視はされない。理不尽な暴力も、面倒な馴れ合いをする必要は無い。


 ただ、その場凌ぎで話を合わせればそれでいい。自ら敵意を見せなくては変に絡まれる事は無い。

 友人関係においてもそれは同じだ。一番楽しめるグループのリーダー格と話を合わせれば、なんて事は無い。グループの輪から一人二人が消えようが、グループ内では何一つとして変わらない。無邪気に笑い、しょうがないなと笑えるのだ。


 だから続ける。自分を嫌っても。自分を殺したくても。この自分を。この俺を。誰かに合わせ続ける俺を。




 ――事実、その少年はあまり敵を作らなかった。どんな立場の人であろうとも。聖人君子と言う訳ではない。理不尽な暴力を用いる事もあるし、苛めを先導する事もあった。

 だが、それは多くの賛成があったからこそだ。僅かな敵を作り、多くの味方を作る。それは、考えてみれば当然の結果だった。

 彼を憎み、恨む者も少なからずいるだろう。何せ彼とて人なのだ。だが、彼自身は誰かを憎む事はありえない。自信に敵意がある素振りを見せてしまえば終わりだとわかってるからだ。


 さあ、そんな生き方をしてる人物は他にもいるだろうか? ――いや、別に答え等求めては居ない。ただ、一つだけ言おう。


 この少年の死に際の台詞は懺悔だった。それは、友に向けた言葉でも自分に向けた言葉でも無い。


 何一つとして本当を言えなかった自分を許してくれ、と。方向性が存在していない言葉。だが、それも当然だろう。


 彼は所詮、『媚を売る』だけなのであるから。例えそれが、自らを殺した者にでも。

書き終わってから、これは憎めないんじゃないなと思いましたね。

自分の普段の生き方をやや拡大解釈してみたのですが・・・う~ん。俺って、悪人なんですかね。こりゃあ。



期限の大幅なオーバー、すいませんでした。

ですがお蔭様で今では気力がすっかりと回復しました。ありがとうございます。

それでは。

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