Prologue
プロローグ
「結局のところ、何もいいことなんてなかったな・・・・・・」
気がつくと、そんな言葉が溜息とともに漏れていた。
正直、俺は中学へ入学し卒業するまでの間、いろいろと未来への希望を抱いていた。花びら舞い散り、毎日が馬鹿みたいに楽しくてたまらないような、そんな毎日を大いに期待し続けていた。
だがそれも今月の上旬に終結の宣告をうけて、結果として始めの独り言で言ったように、これっぽっちもいいことなんてなかった。
だが、そんなことは心のどこかでわかっていた。ただそれがひっそりと隠れて、自分の意識に見つからないように逃げ回っていたのだ。
体育祭は脇にちょこんと立って何もせず、リレー以外に活躍はしなかったし、というか出してもらえなかったし、一日中だるくて自分の応援席で同じような友達と閉会式までしゃべっていた。そのほかの行事の際も全くといっていいほどに、呆れるのを通り越して感動されるのではないか、というほどに目立たなかった。
だからといって全く何もしなかったというわけではない。
生徒会に立候補したり、変なギャグを飛ばしたりしてグループの中で目立とうと頑張ったのだ。だがしかし、それらはすべて決定されていたかのように不発に終わる。
俺はただほんのちょっと周りから光を当ててもらえばそれだけでよかったのに・・・
みんながみんなするような、朝昼晩の食事を平然ととるように平日は毎日学校に行って帰る。そんな日常にちょっとしたいい色をプラスしたかっただけだったのに。
たとえば、夏になったら元気な男友達と海やプールに行ったり、ちょっとかわいい女子とウィンドウショッピングを毎週のように行ったり、さ。
だが、そんなものは夢物語で終わってしまった。
もう高校では何もしない、そう決めていた。中学でやった無駄な努力をもう一度やろうなんていうほどにエネルギーは残っていなかった。
もう俺は地味に高校生活を終えて、普通にオトナになれればそれで十分よかった。本当はもっと充実して、望みある人生を送りたいと思っていたのだ。
こっちのたとえは、そうだな、生徒会でいろんな仕事を頼まれては難なくこなすスーパー役立ち役員!とか、いつも面白いことを言ってみんなを笑わせるクラスのムードメーカー!とか、さ。
たがしかし、そんなちんけな、どんなガキでも見るような夢ははかなく散ってしまった。
もう夢は見たくない。
もう無駄に頑張りたくはない。
そんな希望の水脈が枯れきった状態で俺は、高校生になった。