帰ってきた!
その日の夕食。食堂。
早希医務官がいきなり桜木のおでこに手を当てた。
慌てて手を払う桜木。
この二人は幼馴染みで一緒にこの海軍で育った。
「やっぱり熱ある」
「なんで、わかった?」
「元帥と薪少将が疑っててね。
それに見ればわかるよ」
桜木は文句有りげだったが、何も言わずに夕食を再開した。
「熱はいつから?」
「この前のベンテルス海賊団やっつけた時」
「はあ?
それいつの話?
長引いてたってこと?」
「まあ」
「露出度の高い服装でうろちょろしてるから熱なんか出るんですよ!」
いきなり女が入ってきた。
海兵ではない。
監査官の服装だ。
前強鷲号監査官、甲上佳乃だ。
早希は薬を机の上に置いて、丁寧に二歩下がった。
「顔も見たくないとか言っておいて、呼び戻すってどういうことですか?」
甲上が桜木を睨みつけた。
甲上はカイルにとって裏切り者の娘として追われてた時期があり、亡くなった父親の遺言で桜木が守っていた。
しかし、裏切り者というのが事実じゃなかったことが、みんなに知れると、桜木は甲上の護衛を他に任せたのだ。
しかし、結局、カイル国との戦いを一緒に解決している。
「クゥンマをさ、取り調べ室に入れてあるんだよね」
桜木は甲上の方を見向きもせず食事を続けていた。
クゥンマとはカイルの現王の側近の一人だった。
先の戦の元凶を知りたく取り調べを続けていたが、黙秘を貫いていた。
「なるほど。
裏切り者の娘である私が目の前に現れれば、ボロを出すかもしれないということですか?」
甲上は怒りを通り越して呆れていた。
「へーわかるようになったじゃん?」
やっと甲上を見た桜木は、明らかにバカにしていた。
甲上が船に乗りたての頃、桜木には散々バカにされていた。
「あなたに鍛えられましたんで」
睨む甲上。
ニヤッと笑う桜木。
「守っては頂けるんですよね?」
「もちろん。
では、参りましょう、甲上監査官」
桜木はそう言うと薬を飲んで立ち上がった。




