決行は明日
「船長がいつまでもそんなんでどうするんですか?」
九条が植村を叱責する。
植村は落ち込んだままだった。
「すいません…」
ただ謝る植村。
「だが、本当にこのままじゃ勝率がない」
冷静に突っ込む薪。
九条は黙り込んでしまった。
「他に方法はないんですか?」
石本が尋ねたが、みんな頭を下に向けたままだった。
ただ一人を除いては…
「あるよー」
ふざけた様子の桜木。
みんなが一斉に桜木を見た。
「明日は嵐だ」
桜木が言うには嵐の中、戦闘すると言うのだ。
「うちには優秀な航海士、雨宮君がいるからね」
桜木が雨宮の肩をポンと叩く。
「待って下さい!
自分には嵐の中の戦闘の航海なんて無理です!」
慌てる雨宮。
「そこは置いといて」
雨宮を無視して植村が話し出した。
「作戦はどうするんですか?」
「船長は私、副船長の相手はシンさん(薪のこと)…」
桜木が次々に作戦を話していく。
「ちょっ、ちょっと待ってくだい!」
石本が話を遮った。
「まさか今日のも作戦?
相手の体力を削る気だった?」
「そうだよ」
当たり前だよ!と言わんばかりの桜木。
「でも、こちらの体力も削られてます。
意味ないのでは?」
九条も桜木の話を邪魔した。
そんな二人のもとに近づく桜木。
二人は思わず、後ずさりした。
「海兵なめんなよ」
桜木はニッと笑った。
その後、戦闘が始まると早かった。
桜木の迫力のある的確な指示が飛び交ったのだ。
「第二砲弾、次10センチ下狙って」
「一華、最後は近距離戦に持ち込もう」
「雨宮!3メートル進んで」
…
そして、桜木の言うとおり、強鷲号が完璧な勝利を収めたのだった。