魔法の石
「船長?」
リジューム島の裏町のカイル関連の特別任務(特任)から帰って来ない伊賀崎を探していた入澤が見つけたのは、血まみれで倒れていた伊賀崎だった。
「船長!大丈夫ですか?
伊賀崎船長!」
「入澤さん…これを渚(桜木)に…」
伊賀崎は大きな赤茶色の石がついたネックレスを入澤に渡した。
その言葉を最後に伊賀崎は帰らぬ人となった。
海軍本部に伊賀崎の遺体を運び、皆が敬礼し終わると、桜木と入澤だけが伊賀崎の遺体の前に残った。
「申し訳ございませんでした」
入澤は土下座した。
「別にセンパイのせいじゃないでしょ」
桜木は泣いてはいなかった。
むしろ、入澤の方が泣いていた。
「伊賀崎船長が最後に、これを桜木中将にと…」
ネックレスを手渡す。
桜木はそれを大事そうに握りしめた。
「知ってる?
この石、魔法の石なんだよ」
「魔法?」
桜木の言葉に涙を流したまま首を傾げる入澤。
「持つ人によって色が変わるんだって…」
そう言った桜木の目にはわずかに涙が浮かんでいたらしい。
そして、4年の月日がたち先日の戦の後の二人の会話も甲上は聞いていた。
魔法の石を空に掲げる桜木。
「桜木中将の色に染まりましたね」
魔法の石は鮮やかな赤色になっていた。
「私にしては鮮やかすぎない?」
「どうしてですか?」
「私って一応海軍ではひねくれもんでしょ」
桜木がニッと笑った。
「自覚あったんだ…」
入澤が違う方を見ながら呟いた。
「なんか言った?」
「いえ、何も」
慌てて笑顔を向ける入澤。
それから入澤は叫んだ。
「伊賀崎船長!
終わりましたよ!」
そう言えばこの時、桜木はなんの反応もしていなかったのだ。
そして…




