公認の仲
「この後のご予定は?」
入澤(当時、大佐)が隣にいた伊賀崎に聞く。
「今のところはないですよ」
伊賀崎は食べ物が出ないように口を手で抑えながら答えた。
「か・が・や!」
桜木が入ってきた。
入澤がすっと立ち上がると桜木がそこに座って伊賀崎の肩にくっついた。
「今日、デートするか?」
伊賀崎が差し出したウィンナーを食べながら、桜木は頷いた。
恋愛禁止の海軍内でこの二人の仲だけは公認だった。
だが、周りにとっては近づきにくい仲でもあった。
そんな中、入澤だけは二人の仲をそっと応援していた。
次の日の朝。
入澤は伊賀崎の部屋の扉を叩いた。
少し時間を空けて扉を開けた伊賀崎の服装は軍服のズボンとシャツのみだった。
伊賀崎が中に入澤を入れると、入澤は驚いた。
伊賀崎のベットに布団にくるまった桜木が横になっていたのだ。
「Good Morning、センパイ(入澤のこと)!」
うつ伏せの桜木が入澤に手を振る。
入澤は思った。
桜木はおそらく裸だ。
つまり…
入澤はそれ以上、考えるのをやめた。
「船長、明日からリジューム島の担当となります」
入澤は伊賀崎に向き直った。
「低気圧は近づいていますが、おそらく出港には問題ないかと…」
「その天気図、信じていいの?」
桜木が口を出す。
「えっ?」
桜木は王の巡視船の航海士をしていた経験を持っている。
つまり、航海士としては優秀なことを意味していた。
慌てて入澤が天気図を伊賀崎に、伊賀崎が桜木に手渡した。
「私はやっぱり違うと思うな〜」
「明日、出港できなそうか?」
伊賀崎が桜木に聞く。
「今日中に行ったほうがいいね。
寂しいけど…」
「入澤さん!」
「はい!
すぐに元帥に許可とって、船員集めます!」
その日、伊賀崎船は無事に出向できたのだった。
これが、最後になるとも知らず…




