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ゲオルク・ファウスト

メフィストフェレスとファウスト。


メフィストの髪が、今よりだいぶ短い時期。


悪魔の園最大の謎が未だ構築されていない時期。



メフィストの過去。


彼の相棒。



お楽しみください。



「……なんだお前は」



「俺は錬金術師だ!」



そういうことを聞いているんじゃない……。


名前を聞いたんだが。



あと、悪魔は契約など面倒なことはしない。



魂なんざ要らん。



普通の食事で事足りる。


「俺はお前の名を聞いたんだ」

「ああ、そうか。俺はゲオルク・ファウスト!」


金髪をセンター分けにして、つり上がった瞼に、緑のエメラルドを思わせる瞳。


かなり美形ではあるんだろうが、この話し方では駄目だろうな。


どうでもいい妄想は置いておいて。


「俺は契約はしない。面倒だ」


「……お前は、生まれたばかりなのに、大人なんだな」



「……突然なんだ」



図星だった。



大人にならざるを得ない環境だった。



それを、今会ったばかりの男に見抜かれるとは。



「俺はずっと子供でいたいんだ。大人なんて楽しくないだろ?楽しくなきゃ、意味が無い」




ファウストは、晴れあがった空を見つめ、穏やかに笑ってみせた。



「……」




俺とは正反対な男だ。




俺とは違い、抗おうとしている。



この世のルールに。



神に。




「お前は、……」




「言っただろ?俺はただの錬金術師だ。」




どこまでも底抜けに明るく、元気。




それが第一印象だった。




どうやらそれだけで語れる男ではないようだ。



どこか脆く、触れただけで壊れていきそうなほど繊細な男。



こいつの奥底には、何が眠っているだろう。




不思議と興味を持った。



淡い期待を抱いた。


こいつとなら、友人とでも言うものに、なれるかもしれないと。

いかがでしたでしょうか。


ゲオルク・ファウスト。


錬金術師を名乗り、メフィストを困らせる男。



その実、彼には大きな秘密があり……

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