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プロローグ2
大きな宿屋に入る時、私は気後れした。まるで違う世界のようであったからだ。
エントランスの天井には、巨大なシャンデリラが煌めいていた。カウンターには、受付嬢が待機している。床を歩くと、私の裸足を柔らかく包んでくれる。
黒い人が手を放し、カウンターに行こうとする。私は、なんだか怖くなって後を追う。それに気づいた彼は、また手を繋いでくれた。
ぐる~
私の腹の音だった。
「もう夕餉の時間ですね」
彼は、そう言うと受付嬢に硬貨を数枚渡すと鍵を貰っていた。
食堂に着くと、黒い人は、手を挙げて指を鳴らした。
すると、男の人が近づいてきた。ウェイターだろう。
彼は、健康に良いもので味が美味しいものを、と言った。
出て来たのは、粥だった。七草粥と言うそうだ。
最初は、おずおずと食べていたが最後は腹が膨らむまで食べてしまった。
うとうとしていると。彼が私を抱き背中をポンポンした。
微睡みの中に、私は落ちて行った。
ひと段落かな?