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第三話相模湖の中心で
「入水自殺するのにいい場所知ってるんだ。
新宿駅から八王子駅まで行く。そこから数駅で相模湖駅にいける」
「そこで死ねて楽になれるの?」
「一緒に楽になろう」
明け方までファミレスでコーヒーを飲んで過ごした。
お互い会話はせずただ始発を待っていた。
「ついた。相模湖駅だ。この坂を下れば相模湖だよ」
「ヒールじゃきついか。俺がおんぶして連れてくよ」
彼女はあまり食べていないからか軽かった。
体重30キロ代というところか。
「コンビニでストロングゼロを買おう。
これと眠剤で意識が飛ぶ」
「ついたね。相模湖って初めて来たよ」
「私北海道から逃げるように東京に来たからさ」
「一緒に飲もう。30分くらいで脳内血中濃度が上がって眠気がではじめる。そしたら湖に飛び込もう」
「だいぶラリってきたよ。お兄さん」
「やっと楽になれるね」
僕らは眠剤と酒で意識が朦朧とする中、
湖に飛び込んだ。
ありがとう名前も知らないお姉さん。
一緒に自殺してくれて。
死ぬ前の僕の心は暖かかった。