背中の疵
背中の傷は、恥とよく言いますが。
貌の疵なら 鏡が知っている
胸の疵なら 誇りが知っている
肚の疵なら 性根が知っている
背中の疵は 過去が知っている
斬りかかられてから
背を向けたのなら
つけられた疵を おのれで恥じろ
貌の疵なら 鏡に映ってる
胸の疵なら 誇りに刻んでる
肚の疵なら 性根に響いてる
背中の疵は 過去が憶えてる
背を向けてから
斬りかかられたのなら
つけられた疵は やつらが恥じろ
後ろ指さされて 標的にさだめられた
後ろ髪つかまれて 振り返るのも許されず
後ろ手に組まされて 抗いを封じられた
後ろめたさも 後ろ暗さも無いのならば
正面から口上述べて 姿を晒せばいいものを
背を向けてから
斬りかかられたんだ
背を向けてから
斬りつけられたんだ
つけられた疵を 恥じるのはおのれではない
つけられた疵を 恥じるのはやつらのほうだ
「逃げ傷」とは、限りません。
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