7話 銭湯心得
風呂に入りたい!
たまに川で水浴びをしているが、冬はそうはいかない
魔物が蔓延る門の外の川で水浴びをしている重蔵を見かけて
「すげーなあの人、こんなとこで裸で水浴びしてるよ」
そんな目撃例もある
この町に風呂はない、お偉いさんの屋敷にはあるかも
住民も水浴びが沸かしたお湯で体を拭くくらいだ
石鹸もない
ふむ、石鹸は作れば儲かるかもしれない
孤児院で教えて収入源にしてもいいかも?
とにかく風呂!
さて、どうしたものか
自分だけ入るのもいかがなものか
風呂の魅力を伝えたいし
どうせなら子どもたちにも入ってもらうか
よし、孤児院の隣に作ろう大浴場!
暇だから自分で作ることにした
ログハウス風なら丸太持ってくれば作れるし
荷台を借りていつもとは逆の門へ向かう
こちら側は人間のテリトリーなので魔物の邪魔も入らない
見事な刀さばきで木を切り倒し、皮を剥ぎ取り綺麗な丸太にしていく
組み立てやすいように加工してから町へ運び入れる
それを何日も繰り返す
大浴場製作は事前にシスターに相談したところ
「毎日と肌が綺麗になるし、健康にも衛生面にも美容にもええんじゃよ」
「美容!」
シスターは美容という言葉に反応した
「是非建てて下さい!絶対許可取ってきますので!」
すごい乗り気だった
そんな毎日を送っていると重蔵が冒険者辞めて木材の商売を始めたという噂が流れ始めていた
建設予定地に子どもたちが入らないようにバリケードも設置
そこへ丸太を運び入れ、ある程度集まったので建築を始める
トンテンカンテン
ある程度形になってきた
内部はセメントで作ってみようと思っていた
セメントは簡単なうえに優秀だ
余裕があれば壁もセメントにしてしまおう
トンテンカンテン
よし、セメント探しに山へ石灰石を取ってこよう
場所がわかったら人を雇ってもいいかの
崖が崩れたような地層を探す
意外と近くでみつけた白い地層
カンコンカンコン
うむ、これじゃ、ボロボロ取れる
ある程度を馬車に乗せて町へ戻る
あとは人を雇ってと
セメントも教えていいかも?
古代コンクリートってのもあるくらいだし平気かな?
今度は石灰石をひたすら叩いて粉にする
こりゃ大変だ
そんな毎日が2ヶ月ほど経過し完成!
結構雑!スキマもある!
まあ、仕方ないコツコツやっていこう
水とそれを沸かすのはシスターに頼む
水と火の魔法が使えるのでその心配はなかった
魔法覚えれるの?
さあ!お湯も沸かしてもらって風呂じゃ!
そうだ忘れてた
注意書きも…
1、湯船には体を洗ってから入ること!
2、泳がない!
3、走らない!
4、湯船の中で用をたさない!
5、入れ墨禁止!
ん?最後はいらんか、バッテンしておこう
以上を破った者は1週間掃除当番!
よし、これでいいじゃろう
まずはわしから入らせてもらいます
ゴシゴシゴシ、まずは洗わないとね
「ふぉ〜」
命の洗濯とはよく言ったもんじゃ
外から子どもたちの声が聞こえる
よく見るとスキマから何人ものぞきこんでいた
これじゃのぞき放題じゃな
でも男はわしだけだからいっか
「入ってきてええぞ〜」
ワーワーキャーキャー言いながらいっぱい入ってきた
あ、まずい!
「はい、ストップじゃ!」
「はい、これを読んで」
「よめな〜い」
ガクッ
読めなかったか
注意書きを読んで体を洗わせる
「上の子が下の子の面倒みるんじゃぞ〜」
ゴシゴシゴシ
「お肌がキュッキュッするぅ」
「じゃあ飛び込まないで入るのじゃあ」
飛び込み禁止も書いておいたほうがいいかな
「ふわぁ、気持ちいい〜」
おしっこやめてね
子どもたちも全員ではない、アンや思春期の女のコは入ってこない
ん?わしがいるからか
風呂を出てシスターたちに色々説明したのち帰ることに
「はい!ありがとうございます!では」
風呂が楽しみだったらしい
全員風呂に行ってしまったので孤児院はもぬけの殻
いい湯・だ・なあっははーん、か