5話 孤児院の完成
教会の土地はあっさり許可が出たらしい
勝手にどうぞという感じで簡単な紙を渡されただけらしい
どちらにせよ許可が出たのは嬉しいことだ
孤児院建設に着手しよう
ギルドへと舞い戻り建設の依頼をすることに
建設費用は材料の購入のため前金を半分払う必要がある、残りは完成後でいいそうだ
それでも前金にはギリギリでほとんどお金は残らなかった
まだまだ稼がんとの
今日もギルドへ向かう、相変わらず汚い服装に貧相な装備
他の冒険者は遠巻きに見てせせら笑っているようだ
「本当きったねえなあいつ、来んじゃねえっつの」
「何か臭いますわね」
「弱いから稼げなくて買えないんだろ」
毎日のようにいいように言われている
ゴミを投げつけて笑いながら挑発する者もいた
そんなことは気にもせず稼げそうな仕事を探す重蔵
危険だが割の良いクエストを受ける
重蔵は強い
今狩ろうとしている魔物もBランク以上の冒険者がパーティーを組んで狩るような強さだ
そんな生活を続けて約2ヶ月ほど経った頃
孤児院の完成が見えてきた
「重蔵さん、あとは細かい所だけだから明日には引き渡せるよ」
親方が声をかけてきた
遂に子どもたちのテント生活も終わり、まともな生活を送れるようになる
最初のマーキングは譲れないけどね
そして翌日
遂に完成!マーキングは済ませておいた
「ではこれが残りの半金じゃ」
手渡そうとする重蔵に、親方はそれを制止した
「重蔵さん、あんた1人で子どもたちの面倒みてるらしいじゃないか」
「それは受け取れない、寄付って形にしてもらえば気もひけないだろ?」
「少し自分のために使いなよ」
親方いい人
「そうかのぉ、ありがとう子どもたちのために使わせてもらおうかのぉ」
深々と頭を下げお礼を言うと親方たちは帰っていった
すでに孤児院の中からは、子どもたちの声が聞こえてくる
ワーワーキャーキャー
1階部分は広めの共有スペースで、ここで食事をしたり勉強、協同作業の場所だ
2階が寝室
宿屋タイプで6部屋あるが、そこまで広くはない
2段ベッドを先に購入し、それを3つ押し込んであるので何もできない寝るだけだ
1階に降りると子どもたちがじゃれついてくる
かわいいかわいい
「本当に重蔵さん、本当にありがとうございます」
「すっかり子どもたちも元気になり、こんな立派な孤児院まで」
手を握ってくるシスターにちょっと照れてしまう
おなごの手は柔らかい
「重蔵さんはどの部屋を使われます?」
ふむ、ちょっと考える
魔物の血で汚れることもあるし、夜中に帰ってくることもある
普段子どもたちの世話をして大変な思いをしているシスターにも負担がかかるだろう
「いや、わしは住むところがあるから平気じゃ」
ウソではないが断った
ここには他にも4人ほど大人の女性もいる
夫を亡くし、生活に困っていた未亡人だ
中には親子もいた
生活に困って頼りにしてきたのだ
そういった人たちを受け入れ、今では子どもたちも30人近くまで増えていた
全員の名前覚えるのは無理
そんな女子供しかいない場所に出入りするのもね
「それでしたら、教会の部屋を使ってもいいんですよ?」
「私と一緒ではありますが…ゴニョゴニョ」
シスターの声が小さすぎて聞こえなかった
食堂ではごちそうが並んでいた
こういう時くらい贅沢してもいいよね
子どもたちも楽しそうに料理をほうばる
食事が終わっても子どもたちは騒ぎ続けている
「さあ、もうお終い、寝るわよ」
リーダーシップを取る最年長の女のコ、名前はアン
最年長と言ってもまだ12歳
「はーい」
と元気に2階へ走り出す子どもたち
新しい寝床は楽しみよね
というわけで重蔵も帰っていった