30話 見知らぬ来訪者
夕食時にサラ姫とアンも帰ってきた
「あら、重蔵たちも帰ってきてたのね」
「で?どうだったの?まあ、後で報告書も見るけど」
サラ姫の問いに
「なーんにもなかったわ」
ユリが答える
破壊された建物、風化が激しいこと、魔物が全くいなかったことなどなど話すと
「復興は可能ってことね」
サラ姫は何か考えているようだった
「うん、ありがとう助かったわ」
「復興するにしても、ほとんどの建物は使えないでしょうねぇ」
ユリが言う
なんにしても判断は上の人間のすることだしね
「私、明日にも帝都へ戻るわ」
と言うサラ姫
「報告書を元に上と相談して復興するか否か判断しないといけないし、復興するにしても資金も人手も準備しないとね」
「重蔵は、できれば定期的にテスタへ調査に行ってほしいのよね」
「離れるのは嫌だけど今は仕方ないわ、責務を果たさないと」
サラ姫は偉い!ヒモのわしとは大違い!
「そうね、1ヶ月に1度程度調査してもらえばいいかしら」
「今回の調査でたまたまいなかったのか、ずっといないのかわからないし」
そう言うと夕食を取りいそいそと部屋へ戻った
「そうなるとしばらくこの街にいるようかの」
まあ、やることないんだけどね
まずは油作りかな
「私もしばらくこっちにはこれないかな」
と言うアン
「さすがに孤児院のお世話をシスターに任せきりにしていたから戻らないと」
「重蔵も来て住んでもいいんだからね?」
「重蔵のお金で建てたんだし、誰も文句言わないわ」
少し考える重蔵
「しかし、ユリのこともあるしの、知らない街に1人にさせるのものぉ」
「しばらく考えておくからの、お世話になる時にはお願いじゃ」
ガックリするアンが
「じゃあ、すごく心配ではあるけど孤児院に戻るわ、早く来てね重蔵!」
抱きついてきたので、頭をナデナデした
そして孤児院へと戻って行った
「フフフ」
「これで気兼ねなく重蔵を独り占めにできるわ」
と不敵な笑みのユリ
「とりあえずテスタの調査でお金の心配はないわね」
部屋へ戻り色々考える
って当然のようにユリもいるが
そもそもだ
わしは一体何者なのか
前世とその前の記憶もあるが、何故この見知らぬ土地と見知らぬ時代にいるのか
コンコン
誰か訪ねてきた
サラ姫?アン?
ガチャ
見たことのない、精気を感じない…人?
「どなたかの」
と言う重蔵に
「そろそろかと思いまして」
訳がわからない、何を言ってるのか?
「1度サクラの元へ赴くと良いでしょう、サクラもあなたをお待ちです」
そして地図を手渡してきた
「では、失礼をいたします…彼の地でまた」
なんとも不思議な者じゃったが、あれは人というより機械…アンドロイド?
「誰だったの?何それ」
重蔵から奪い取る
「あ、こりゃ、それは」
「地図?なんの地図?」
「わからん」
「ず、随分精巧な地図ね、何これどうやって書いたのかしら」
「で?ここへ行くの?」
うーん、状況が全く理解できない
そろそろとは?サクラ?彼の地というのはこの地図の場所であろうし
押し黙る重蔵
とにかく行くしかないかの
今抱いている疑問もそこへ行けばわかるのじゃろう、どんな残酷な事実であろうとも
「明日そこへ行ってみるつもりじゃ」
「じゃあ、また旅の準備しないとね」
と答えるユリであったが
ユリを連れて行くべきか?
全てを知られ、全てを無くす可能性もある
何かの事実を知るにしても、自分だけ知ればよいのでは?
「どんなことがあっても私は重蔵の味方よ」
全てを悟ったかのような顔でユリが抱きしめてきた
本当にこんなに心強いパートナーはいないなと感じた
「大丈夫、大丈夫よ重蔵私がずっとついてるから」
ちょっと涙目になっていたかも
「さあ!お風呂入って寝ましょう!」
一緒に入り、ベッドで就寝
そこで、遂に一線を越えて重蔵とユリは結ばれた
「重蔵、愛してる…」