26話 テスタの調査依頼
風呂から上がると姫さんはまだ寝ていた
布団を丸めて抱きついていた
抱きまくらを作ってもいいのぉ
そんなことを考えていると姫さんも起きてきた
「おはよう重蔵〜、本当によく寝たわ〜」
「こんなに熟睡したの久しぶりかも」
「おはようじゃ」
「おはよう」
「あら?ユリも早起きね」
コンコン
「重蔵起きてる〜?」
アン声だ
「起きとるよー」
フフンと不敵な笑いを浮かべつつ
「丁度いいわ、私も重蔵と一緒にお風呂に入ったわよ!」
ユリは知っているから動じないが、アンは衝撃を受けていた
「まさか姫様まで…」
「えっと…それだけですよね?」
ガックリした様子で
「そうよ、それだけよ…」
「でもね!キスはしたわ!」
それには重蔵がショックを受けた
「え?いつ…?した覚えが…」
「寝てるときよ!」
それじゃわからん
「それって軽めのおこちゃまキスでは?」
また挑発するかのように不敵な笑みでユリが言い放つ
「お、おこちゃまキスって…」
ワーワーギャーギャーまた騒ぎ出した
そんな中アンの心の中は燃えていた
「2人の上をいってやる!」
ワーワーギャーギャー言ってる2人と何かを企んでるような顔のアン
はてさて、どうなることやら
朝食を取り今日は何をしようかと話しているが、特にやりたいこともなし
各自、自由行動となった
今日はのんびり部屋で大人しくしてるかの
いや、折角だからこの街の酒を飲み歩くというのもいいの
だが重蔵は気づいた
ヒモ生活なのでお金を全然持っていない
ここでの払いも姫さんの仕事での経費だ
なんか仕事ないかギルド行くかの
3人に気づかれると払うからいいとか言われそうだし、こっそり行くことにした
なんとか気づかれずにギルドに到着するとザワザワし始めた
さすがに知れ渡っているからかあちこちから声がする
「テスタの、ほら…英雄…」
英雄とか恥ずかしすぎる
ボードへ向かい何か仕事がないか探す
ここは現在での魔物との最前線、魔物狩りの仕事ががそこそこあった
だが、テスタの時ほどの緊迫感はないみたいだ
そんな中にテスタの現状調査というものがあった
必要ランクがA以上ということもあり、依頼日付を見ても塩漬け状態みたいだ
かなり興味を引いたが、まず遠いこと
1日で帰ってこれる距離ではないし、あの時の状態のままだったら命の危険もある
姫さんとアンは無理だがユリがいれば可能かもしれないのぉ
これは戻ってユリと相談かの
その前に受付へいき詳細を聞くことに
向かう際に馬を貸し出すこと、馬車ではいざという時に逃げ切れないため馬車では行かないこと
荷物持ちもいなければギルドで用意する
報酬は内容にもよるが、最低でも金貨5枚かなりの高報酬だ
それだけ危険なのだろう
とりあえず保留とし、ユリと相談するために宿屋に戻ることにした
宿屋に戻ると早速ユリのお出迎え
「もう、重蔵どこ行ってたのよぉ折角イチャイチャしようと思ってたのにぃ」
姫さんもアンも一旦仕事にいったようだ
「ユリ、ちょと相談があるんじゃが」
詳細を話す重蔵に
「フフーン、ユリさんの力を貸してほしいというわけね」
「もちろんオッケーよ、私は重蔵のパートナーだし」
「それに、重蔵が住んでいた場所も見てみたかったし」
「いつ出発する?」
馬でも片道2日はかかる行程だ
「姫さんたちにも説明しないとのぉ」
一旦保留して姫さんたちの帰りを待つ
「じゃあ重蔵の部屋で打ち合わせしないとね」
まあ、打ち合わせなんかしないでベタベタするのが目的だろうけど
夕方になり2人が帰ってきた
2人に詳細を話すと、アンはついてくるのが無理と早々に判断したが姫さんはついていくと言い出した
依頼を出したのが姫さん本人だという
それを重蔵が行くならと
「気持ちはわかるが、さすがに危険だし守りきれるかもわからんしのぉ」
「だってユリは行くんでしょ?」
「私はランクAの冒険者だから条件に合うわ」
「姫さんは自分で出した条件を自分で反故にするわけにはいかんじゃろ」
サラ姫はなくなく諦めた
そして夜が来る