24話 サラと重蔵
なんと姫さんと泊まることになってしまった重蔵
姫さんもあれだけ希望していたが、いざとなると躊躇しだした
床を叩いて悔しがるユリに、壁にもたれかかるアン
「重蔵!手を出しちゃだめだからね!姫様よ姫様!問題よ問題!」
必死になるユリ
「ちょっと、それは重蔵の意思次第よ」
「あ、でも、そのオッケーてわけじゃないのよ」
「あ、でもその気になったら、それはそれで…ゴニョゴニョ」
サラ姫が押し黙る
「順番だからね!明日は私とだからね!」
アンはプンプンしながら自分の部屋に戻っていった
ユリもしばらく何かを言っていたが自分の部屋に戻っていった
部屋へ入る2人
2人ともどうしていいかわからず
「とりあえずお茶でも」
重蔵がお茶を入れ、姫さんを椅子に座らす
思えば姫さんと2人きりはなかった
「テスタの町は楽しかったの」
重蔵が切り出すと、あの時の話で盛り上がる
孤児院のこと、最初は汚いおっさんとしか見てなかったとか、あの戦闘のこととか
「私ね、あの日最後に重蔵は手を振っていたわよね」
「そういえばそうじゃったかの」
「あの日まで重蔵の行動に心惹かれて…」
「最後の重蔵の姿を見た時に初恋だと知ったの」
ジッと見つめる目に照れてしまう
「重蔵が言うのもわかるわ、貴族相手ならいくらでもいるだろうって」
「でもね、着飾った衣服に豪華な食事、綺麗に見せるための装飾品に見せかけの丹精な顔立ち」
「単に王族とのつながりを持ちたいだけ、本当に愛してるわけでなくその後ろにあるものが目当て」
「全てがウソで貴族が本当に嫌だった」
「えと、それとね…」
「貴族って男女とも初めての人って少ないのよ」
「お父さまもお母さまも愛人みたいな人がいっぱいいるわ」
「お姉様にしても結婚前から何人も屋敷に男を呼んでいたし」
「わたくしはそんなことをしてませんからね?」
「そんなウソと性がうずまく場所が嫌になり視察名義であちこちに行ったわ」
「そしてテスタで重蔵に会ったのよ」
「本当にごめんなさいね、最初は本当に汚いおじさんとしか思っていたのよ」
「でも孤児院の子どもたちと遊んでいる時に重蔵のことを色々話していたわ」
「毎日食べ物の心配をし、いつ飢えて死ぬかわからない恐怖」
「重蔵が救ってくれたあとも、自分の稼ぎを全部使って育ててくれているって」
「それを聞いて心の中で謝ったわ、身なりの悪いことを平気で思ってしまって、恥ずかしくなったわ」
「人知れず1人で困ってる人を助け続け、戦いにしてもいつも傷だらけで」
「この人は多くは語らないけど、ウソをつかず行動で語るかたなんだって」
「それからはもう容姿とかそんなの関係なく、どんどん重蔵に惹かれていったの」
「そして、最後の日に本当に泣いたわ、自分にこれだけの涙があったのかと思うくらい」
「そして、重蔵が生きていたってわかった時にまた泣いたわ」
「嬉しくて嬉しくて会いに行ったら何よ!」
「ものすごく綺麗な人と一緒でさ!」
「今も嫉妬でどうにかなりそうなくらい!」
「でもいいのよ?この国は実力者であれば一夫多妻が認められているんだから」
あ、その今ヒモ状態なんじゃが…
「アンもずっと重蔵が戻ってきたら結婚してあげるんだって言ってたわね」
クスっと笑う姫さんの笑顔にドキッとしてしまった
「ねえ、重蔵お風呂入るの?」
顔が真っ赤だ
「風呂は命の洗濯じゃからの、楽しみの1つじゃ」
「あのね、重蔵…」
「ほえ?」
「一緒に入っていい?」
「姫さんとかい?!」
「私だけ一緒に入ってないのは不公平よ!」
「私も他の2人に負けるわけにはいかないの!」
「私は重蔵を愛してるの!」
気迫のこもった言葉に
「しかしのぉ、困ったのぉ」
「嫌なの?」
「嫌とかそういう問題じゃなく…ゴニョゴニョ」
「嫌じゃないならオッケーよね」
つい
「はい」
と言ってしまった