20話 アンとの再会
朝食になり不機嫌そうなサラ姫に、勝ち誇ったようなユリ
「あの時のお金でここにも孤児院を建てたわ、シスターが中心となって」
「そこでアンもシスターとなって孤児たちの世話をしてるわ」
あれから10年だからアンも22歳か
色々なことを考えつつ孤児院へ向かう
ワーワーキャーキャー
子供たちの声が聞こえてきた
コンコン
「ごめんくださーい」
そう言うと
「はーい」
と40くらいの女性が出てきた、懐かしい顔だ
「あらサラ姫お久しぶりでございます」
「えっと、そちらの方々は…え?うそ」
思いっきり目を見開いて
「重蔵さん?」
「久しぶりじゃのぉ、元気じゃったかの」
「え?え?本当に重蔵さん?」
何故かVサインの重蔵
「生きてらしたんですね!生きてらしたんですね!フグゥー」
泣きながら抱きついてきた
「あ、そうだアンー!アンー!大変よー!」
しばらくしてアンが面倒くさそうに
「またなんか壊したのー?」
そしてVサインをする重蔵を見て固まった
固まったまま重蔵に寄ってきて、ペタペタと顔を触り始めた
一通り触ると抱きついてきて泣き始めた
重蔵も抱き返し
「すまんのぉ、遅くなったかの」
アンは何も言わない、ただ泣いている
そして
「遅いよ!重蔵!バカ!」
「ほら生きてたでしょ!みんなして重蔵はもう帰ってこないとかウソばっか言ってさー!」
シスターに向かって叫ぶ
「そうね、ごめんね私がウソついてたわ」
シスターも泣きながらつぶやく
ユリも少し引きつった顔をしながらも泣いていた
「重蔵!あれからね!あれからね!」
と言うアンに対して
「はいはい、ここじゃなんですから」
とシスターが食堂に案内した
孤児の数も大分減ったようでインドア派の子供が数人いる程度だった
「わぁー綺麗な人〜」
子供たちが寄ってきてきたが
「ごめんねぇ、これからお話するからあとでね」
「はーい」
素直な子供たちじゃ
「こうしちゃいられないわね、他のみんなにも知らせなくちゃ」
シスターがいそいそと動き回る中、アンはまだ重蔵にしがみついていた
「えっと?重蔵こちらは?」
ユリの顔がめちゃくちゃ引きつっている
色々説明して理解してもらったが、なんとかしてアンを引き剥がそうとしている
ユリのことも説明しアンにも理解してもらったが
「へー重蔵の娘さんなんですねぇ、じゃあ私の子供になるんだね」
「はぁ?何を言ってるの!」
「だって私、重蔵と結婚の約束したし」
「ちょっと重蔵?どういうこと?私というものがありながら」
「いや、子供の戯れじゃよぉ」
「ちょっと重蔵!私と結婚するって言ったでしょ!」
「アン、ここは安定した生活を送るためにも私と結ばれたほうが重蔵は幸せよ」
サラ姫も参戦してきた
もみくちゃにされながら3方向から引っ張られ
「たーすーけーてーー」
「あら、楽しそうね私も混ざっちゃお」
帰ってきたシスターも参戦
今度は4方向から引っ張られ磔みたいにな状態に
「コーローサーレールーー」
やっと解放、少しは背が伸びたかの?
いや伸びたのは手足だけか
見た目がキモくなった
「あはは、重蔵キモイー」
アンの笑う顔を見て、改めて安心した
「早速ギルド行って重蔵さんが帰って来たことを街のみんなに知らせるようお願いしてきたから」
「今夜ギルドの食堂で重蔵さんの歓迎会することなったから」
とシスター
「子供たちも連れて行くから準備しないと」
とシスターはまた忙しそうに走り出していった
その後も当時を知る子どもたちと、お手伝いさんやらともお話をした
「アンもお手伝いしてきなさい」
サラ姫に言われてシブシブ奥へと向かった
ここではユリが完全に孤立するのもわかったので重蔵自らユリの手を取ると
ユリの顔がみるみる明るくなる
「今夜は知らない人ばかり来るかもしれんが、隣におればいいかの」
改めて重蔵の心配りに、抱きつかずにはいられないユリであった