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重蔵さん頑張ってます(仮)  作者: りがじい
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19話 ユリとサラ

ヒモ生活に後ろめたい気持ちもありながらアンペアの街へ行く日になった

それまでサラ姫は毎日騎士団への勧誘をしているが、それをユリが止めるという日々だった


「重蔵は私と一緒に里に行くから無理」


ユリはその一言


「重蔵は私の元で安定した職に就いたほうがいい」


サラ姫はその一言


両者譲らず


さて、アンペアの街までは馬車で3日ほどの行程

同行者が元勇者パーティーであるユリとその勇者を打ち負かした重蔵ということで護衛の必要なしとなり、3人での旅となった


なんだかんだで仲は悪くない

当の本人はわかっていないが、ユリとサラ姫の話の中心は重蔵の人柄やら信念やらだ


「差別が酷かったあの時に、重蔵は1人で私のために何もかも捨てて育ててくれた、愛よ愛!」

ユリがそう言うと


「それは親としてでは?重蔵はこれまで大変な思いをしたはず幸せに暮らすためにも安定した職に就いたほうがいいし、それを私がバックアップするわ」


サラ姫も食い下がる


ギャーギャーワーワー


手綱を握る重蔵はそれよりも早く代わってと思うのだった


なんだかんだでアンペアに到着、もう夕方だったのでまずは宿屋を探し、訪れるのは翌日とした


しかし、よくしゃべることが尽きないなとまーだしゃべってる

仲がいいのか悪いのか


夕食時でもまだしゃべってる

まあ、わしは酒があれば言うことなし、酒と言ってもエールくらいしかないけどね

ドワーフが作る酒は強いらしいが市場には出回っていない

当のドワーフが全部飲んでしまうからだ


エールを飲みながら、今更ながらこの世界のことを考える

とにかく文明という文明がない

魔法である程度事足りるから文明の発達がないのだろうか?

大国ともなればある程度文明が発達してもいいものだが、魔物がそれを阻んで大国にさせないようにしている?


他国との戦争もほとんどないし交流もほとんどない、国と国との間に魔物たちの住処があるためだ

それを解決しようと思った国もあったらしいが、何者かに一夜にして滅ぼされたことから国の指導者もそれ以上のことは禁忌としているところもあるとか

それも交流がないので憶測でしかない


「で!重蔵は私と行くわよね!」

酔ったユリが絡んできた

「重蔵は帝都で静かに暮らしたいわよね!」

酔ったサラ姫も絡んでくる


めんどくさー!


「2人ともそれだけべっぴんさんなんじゃから、こんな薄汚れたおっさんほっとけば…」


「そうじゃない!」


2人がハモった


ワーワーギャーギャー

またなんかわめき出した


大人しくお酒飲もうよ


料理などもかなり淡白だ

味付けはほぼ塩のみだろう

当然調味料、香辛料の類は感じられない

ここは四季があり、気候もかつての日本と変わりがない

だが街並みは中世ヨーロッパ、食生活もヨーロッパ風で日本人らしき風体の人はいない


月は1つ、うさぎの形が見える

太陽も1つ

星座をよく知らないのでもう少し知っておけばと後悔した


地球なのかのぉ?


「突然なんじゃが」

重蔵がそう言うとピタっと2人の会話が止まった


「な~に?重蔵」

また2人がハモった

「この大地が球形なのは知っとるかの?」


2人はキョトンとしていた


「やーだ重蔵、丸かったら落ちちゃうじゃない平らよ平ら」 

ユリがそう言うとサラ姫も同じような事を言った

重蔵はため息をついて、このレベルかぁっと


「なんで球形だと思うの?」

っとサラ姫が聞いてきた

いや事実なんじゃが、重力だのそういった知識もないのかと


「月は丸いの?」


「うん丸いわね」


「太陽も丸いの?」


「うん丸いわね」


「じゃあここも丸いとは思わんか?」


2人が悩みだしてしまった

しまった!話が長くなりそうだ


その場を諌め、今日はお開きにして明日もあると言うことで寝ることにした

そしてまた揉めだした


「私はいつも重蔵と一緒に寝てるの!」

「私も構いません同じ部屋に泊まります!」


もう寝ようよぉ


結局3部屋別々に寝ることにしたが、朝起きたら隣にはユリがいた


その寝顔は子供のようで、頭を撫でながら今日これからのことを考えていたのだった


グフフと言ってるユリ

綺麗な顔でグフフは止めなさい

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