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重蔵さん頑張ってます(仮)  作者: りがじい
11/34

11話 脱出

グアー!ガルルル

複数の魔物が近寄ってくるのがわかった

ポーションを飲ますと、少し回復したのか話だけはできるようになったようだ

「しばらく行けばわしの持ってきた荷車がある、そこまでおぶって行くのじゃ!」

「シンガリはわしに任せて走るんじゃ!」

重蔵が叫ぶとパーティーは走り出した


脚の早い狼系の魔物を優先して倒す

パーティーは荷車をみつけ、怪我人を乗せ走っていく

シンガリを務める重蔵は次々と襲ってくる魔物を斬り伏せていく

パーティーが門まで到達するのを確認してから重蔵も門へと走り出した

しかし、何故急に魔物たちが?


門へ駆け込むと急いで門を閉じる

「なんですかこの魔物たちは」

門番の問いかけに、わからんとしか答えようがない

翌日にギルドへ向かうと他の冒険者も同じで魔物の数が増えたという

とにかくなるべく多く狩り数を減らすというギルドの方針に冒険者たちは賛同し、多くのパーティーが狩りに向かった

重蔵もそれに続く

森の手前からすでにあちこちで戦闘が繰り広げられていた

重蔵は最前線へと向かい戦闘を繰り返す

「くそ!数が多い」

苦戦しているパーティーの助っ人へ入る重蔵

「一旦引くんじゃ、シンガリを務める」

「すまん、重蔵さん」

夜にも魔物は出てくるが数は少なく、大型もいないので門の防御だけで済むのは助かった

そんな日々が1週間も経つとギルドや治療院は怪我人で溢れてきた

重蔵もその中にいた

連戦による連戦のうえに絶えず最前線に赴き、シンガリを務める重蔵も傷だらけだった

「ちょっと重蔵酷い怪我じゃない!」

姫さんが来て驚いていた

「早く治療を…」

という姫さんを止めて

「いや若いもんから治療しておくれ」

そんなことを言う重蔵の手を握る姫さん

では他の人を治療しようとすると

「いや、重蔵さんを先に診てくれ、あの人怪我したままでも最前線に行こうとするから」

「重蔵さんがシンガリになってくれて助かったんだ、先に診てやってくれ」

そんな声ばかりだった

重蔵の治療を始める姫さんを止めようとしたが、手をピシャっと叩かれてしまった

なんで泣いておるんじゃろ

しばらくして男が1人入ってきて

「もうだめだ!もう門の外へ出てもどうにもならない、パーティーも全員戻ってきた」

それを聞いて壁の上へ向かう、姫さんも着いてきた

ハシゴを登り門の外を見ると、報告の通りもう多少狩ろうと意味のない数まで増えていた

姫さんは帝都に応援要請していたようだが

「これじゃ間に合わないわね」

そうつぶやいた


まずはこのことをギルドへ報告して対策を練らねばならない

門の外では魔物の数が増々増えていき、その声が町の中にまで聞こえてきて住民を不安にさせた

しばらくして姫さんもギルドに訪れ、至急避難するように住民に知らせてと依頼してきた

ギルド内にいた冒険者全員が駆け出し町に触れ回る


重蔵は孤児院へと走り出す

孤児院ではシスター含め、何事かと戸惑っているようだった

「急いで必要最小限の物を持って避難するんじゃ!」

叫ぶ重蔵に危機感を感じたシスターや子供たちが走り出す

「とにかく急ぐのじゃ!今ならまだ馬車にも余裕があるはずじゃ」

重蔵は叫びつつ子供たちを馬車まで連れて行く

町の中は混乱している、子供たちだけでは危険なので重蔵が付き添う


「重蔵はどうするの?」

不安げな顔のアン

「わしは残って避難の手伝いせんとな」

重蔵がそう言うとアンが抱きついてきた

「やだよぉ」

頭を優しく撫でながら

「大丈夫じゃ、ちゃんと戻ってくるから子供たちのことを頼むぞ」

「約束だからね」

撫でながらウンウンと頷く重蔵

アンを馬車に乗せシスターに有り金を渡す

「これだけあれば当分は暮らせるかの」

「重蔵さんも気をつけて、ちゃんと戻ってきて下さいね」

シスターも泣き顔だ


馬車が走り出すと子供たちが手を振っていた

重蔵も手を振る


「達者でのぉ」

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