エルフの赤ちゃん
初作品です。
のんびり書いていきます。
気がつけば青空
周りは木々が、どうやら森の中らしい
身長は155cmくらい中肉中背、下っ腹は出て年齢はアラフォーか?
格好は昔の武士で二本差し
「ここはどこじゃろ?」
名前は重蔵、前世と前々世の記憶があり今の格好は最初の記憶のものらしい
とにかく周りを探索して現状把握しなければ
少し歩くと生き物の気配を感じる
重蔵は剣術の達人だ、前々世も前世も剣術で生計を立てるほどの
「なんじゃあれは」
見つけたのは世に言うゴブリン
初めてその姿を見た重蔵は困惑する
ひ、人?わしよりちっちゃい
それが3人?3匹?いて何かをいじっている
なんとその目線の先に赤ん坊がいるではないか!
たまらず飛び出すとゴブリン達が問答無用でその手に持った棍棒のようなものを振りかざし襲ってきた!
しかし、重蔵の敵ではなく冷静に一太刀で脳天をかち割る
残りの2匹も同様に襲ってくるがなんなく捌き倒す
「しかし面妖な、妖怪?そんなことより赤ん坊じゃ」
真っ白な肌に可愛らしい女の子に見えるその面持ちだが耳が長い?
世に言うエルフと見受けられるが重蔵はエルフを知らない
周りを見渡し保護者なる人物を探すことにする
赤ん坊を置いていくわけにもいかず帯でおんぶした
1時間ほどうろついてみるが人、生き物の気配はなく、遺体などの戦闘した形跡もない
しかし、ここがどこでいつの時代かもわからない上に赤ん坊までいるこの状況に重蔵自身も少し焦り始める
「とにかく人のいる所まで行かねば」
時刻は昼あたりであろうか、太陽が真上に見える
しばらく歩くと道に出た
問題は右か左か
勘で行くわけにもいかずしばらく人が通るのを待つことにする
しかし、大人しい赤ん坊だ
まず赤ん坊の乳をなんとかしないといけないがどうしようもない、とにかく待つ
なんて思っている時に馬車がすごい勢いで走ってくるのが見えた
すかさず手を振り止まってもらおうとするが様子がおかしい
ガシャーン!!
馬車が道の脇にはずれ横転した
その後に馬に乗った5,6人の男たちが追いつくがその姿はまさに荒くれ者の様相
一瞬にして状況を感じ取り駆け寄ると、今まさに御者と思われる者に斬りかかる荒くれ者
その刹那重蔵は荒くれ者の手首を斬り落とす
返す刀でそのまま喉元へ突きを繰り出す
「なんだ貴様は!」
残りの荒くれ者が叫ぶと同時に馬を降り重蔵を取り囲む
皆が皆両刃の剣を持ち、ガタイがとにかくいかつく日本人ではないことはわかった
何故か言葉が通じてることに違和感を感じたが今はそれどころではない
「オギャーオギャー」
さすがに赤ん坊が泣き出す
「赤ん坊背負って戦えるのか?」
「関係ねえやつは引っ込んでろ!」
ニヤニヤしながら襲いかかってきた
しかし、重蔵からして見ればあまりのスキの大きさに拍子抜けしながらも流れるような体さばきで二人の胴を斬る
残りの3人はその動きに驚き動きを止めたところ、重蔵はそれを見逃さず全て喉元への突きを繰り出し3人は即死
あまりの速さに御者と思われる者がポカーンと口を開けていた
「剣を抜いた者に容赦はせん」
赤ん坊をあやしながら馬車に近寄り無事を確認すると、御者と思われる者も我に返り
「助かりました、本当にありがとう」
馬車の中にも人がいたようで12歳くらいの男の子と女の子が出てきた
御者は30そこそこの男性で親子のようだった
「無事でなにより」
「それよりこの子に何か食べさせたいのだが何かないだろうか?」
子供たちはまだ恐怖が抜けてないようで震えていた
「怖かったのぉ、でももう安心じゃよ」
周りを見渡した子供たちは倒れている荒くれ者を見て少し安心したようでお礼を言ってきた
父親が少しばかりのヤギの乳を持ってきてくれた
それを赤ん坊に飲ますとゴクゴク飲みだした
「やはりお腹が空いてたんじゃの」
馬車も横転しただけで壊れた様子はないが、どう起こそうか親子が四苦八苦していた
トントントン
赤ん坊の背中を叩きゲップをさせて重蔵が馬車へ近寄る
「よいしょ!」
いとも簡単に馬車を起こすと、また驚く親子
当の本人もビックリした様子
「すごいねおじさん!」
キラキラした目でみつめる子供たちだが、ビックリした重蔵の顔を見て不思議そうな顔に変わってた
そのうちお腹いっぱいになった赤ん坊は寝ていた
「あなたはこの先にあるアルテの町のかたですか?」
父親が尋ねてきた
「いや、違うんじゃが町があるならそこまで乗せてもらえんかの?」
「もちろんかまいませんよ、さあさあ乗って下さい」
詳細をこの人に言っても仕方ないしとりあえず町で情報を収集しようと考え乗せてもらうことにした重蔵
距離にして10kmほどあったので非常に助かった
夕方頃到着し門番となにやら話す父親がしばらくして戻ってきた
盗賊に関して聞きたいので門番に説明してほしいとのこと
「変わった格好をしているがどこの者か?身分を証明する物はあるか?」
これは困った
自分でも分からないのに説明のしようがない
とにかく人と関わらず山の中で剣術修行していたので何も持っていないと適当なウソをついた、と銅貨10枚を要求してきた
あたふたしていると父親が出してくれた
お礼を言うと
「命と荷物を助けていただいたのだから安いものです」
それとこれから物入りでしょうからと銀貨を10枚渡してきた
銀貨1枚は銅貨100枚らしい
銅貨1枚でパンがひとつ買えるらしいので100円くらいか?そうすると銀貨10枚で10万!
さすがにもらいすぎではと言うと、是が非でもというのでお言葉に甘えさせてもらった
親子は小さいながらも商店を営んでいるらしく、商品が無事だからこれくらいはさせてくれということだった
その際、身分証明書なら冒険家ギルドへ行きカードを発行してもらうといいとアドバイスをもらい別れた
盗賊については父親が説明し、後日現場検証したのちにまた呼び出すのでこの町から出ないようにと門番に言われた
「その赤ん坊はエルフか?」
門番が嫌な顔して聞いてきたが、あまり興味がなさそうでどうでもいいという感じだった
さてどうしようか
冒険家ギルドの場所は門番に聞いたけど、日もすっかり落ち今からだとやってないかもと思い、まずは宿屋を探すことにした
町を歩くとあちこち看板があり見たこともない文字だらけだが何故か読めるという不思議
宿屋発見
よく見るとかたまってあちこちにある
とりあえず適当に入ると
「いらっしゃいませ〜」
見た目40くらいか?のおばちゃんが対応する
一泊銅貨50枚で素泊まりなら30枚とのこと
しかし
「その子はエルフかい?」
何回も聞いてエルフは人族とは違うらしいというのは
理解した
「なら泊められないね!」
驚いた
わけがわからない
「あんたよそ者かい?この町に亜人連れてくるんじゃないよ」
亜人?どうやら他にも人族じゃない者がいるらしいと思われるがどうやら差別されているらしい
追い出されるように宿屋を出る
「どの宿屋も同じなんじゃろか」
結果同じだった
次の宿屋その次の宿屋も断られてしまった
とりあえず見た目は耳だけなので帯で頭を巻いて耳を隠して最後の宿屋に泊まることができた
食事もしたいため一泊50枚払ったが、問題は赤ん坊の食事だ
ここでは幸い食事の際にヤギの乳も購入できた
食事も済ませ色々考えを整理する
とにかくここは日本ではないし時代もかなり前だと思われること
冒険者というものは明日ギルドで聞くとして
やはり問題は赤ん坊だ
置いていくわけにもいかず、大体育てられるわけもなく孤児院みたいなものがあるか探さないといけないが差別が酷く引き取ってもらえるかどうか
とにかく疲れた、今日は寝よう
赤ん坊の夜泣きは大丈夫だろうか?とにかく大人しいのが心配でもあり助かる気持ちも
と、そのまま眠りについた…
翌日
朝食を取り赤ん坊に乳を飲ませ町に繰り出す
今日の赤ん坊は元気で頭の毛をムシムシやってる
ハゲそう
赤ん坊の耳を隠しとりあえず冒険者ギルドへ向かう
朝方は人が多く中々受付が空かないのでしばらく待つことに
異形の姿に赤ん坊を背負ったその姿はかなり目立つので端っこのほうにちょこんと座っていると
「おう、いたいた」
昨日の門番らしき男が寄ってきた
夜勤明けか無精ヒゲで歳は30くらいか?お疲れさまです
「すごいなあんた、あれ1人で倒したのか?」
「全員レベル30越えの手配中の盗賊だよ!」
レベル?30というのも強い部類なのかな?
「これから登録するんだろ?その時に報酬も一緒に渡すから」
思わぬ収入に喜びつつ、冒険者とは傭兵みたいなものか?と
これで食っていけるのかと思うと少し安堵した
門番さんに付き添ってもらい受付にて手続き、書類に記入する
「えっとお名前は重蔵様、住所が…鹿児島?職業が剣術指南役?」
やっぱりそうだよねわかんないよね
「まあ住所は遠い知らない土地から来られたみたいなのでこれで登録しますが…」
職業というのは色々上級職であればパラディンや賢者、アークの名のつくもの
下級職であれば剣士や魔法使いやらあるようだがさっぱりわからない
「侍というのはないかの?」
受付の女性も門番も首をひねっている
とりあえず剣を持ってるから剣士にした
「スキルはございますか?」
なんのこっちゃと受付の女性の問いかけに困った顔でプルプルしていると
クスっと笑いながら水晶玉を取り出した
「こちらに手をかざして下さい」
「これは?」
「こちらでレベルやスキルなどがわかりますので触れたらジッとしてて下さいね」
すごい技術だと感心しつつペタッとな
何やら文字や数字が浮かび上がる
受付の女性と門番のあんちゃんが目を見開く
「レベルが200!?」
「おい!レベルはこれ本当なのか?壊れているんじゃないのか?」
「えっと、スキルは…おにぎり?」
おにぎり!
重蔵の目が輝く
でも誰でも米があれば作れるけどわざわざスキルとやらに?
ただもっぱら注目はレベルらしい
聞けば騎士団長レベルということでかなり強い部類であり、戦闘スキルなしでこれはあり得ないとのこと
受付の女性は少々お待ちをと奥に走っていき、立派なヒゲをたくわえた齢50くらいと思われる男を連れてきた
その50男はギルドのお偉いさんで水晶玉を覗き込む
「少し手合わせをお願いしたい」
なんだかわからないが力量を図るのだろう雰囲気を感じたので了承
裏庭へと移動すると何人かが訓練らしきことをしている
お偉いさんを見ると訓練していた人たちが一斉に手を止め敬礼っぽいことをしたが顔が強張っていた
怖い人なのかな?
「見たことのない変わった剣を持ってるな」
「細身で曲った剣で戦えるのか?」
どうやらここでは刀はないらしい
「赤ん坊背負ったままやるつもりか?」
耳を見られると厄介だが危険だし、やむを得ず訓練生の1人に預けたがこれが間違いだったかもしれない
「私はこの冒険者ギルドを束ねるギルドマスターで元Aランク冒険者だ」
なんと最高責任者だった
なるほどよく見ると強そうだ
「自身の剣を使用してかまわない」
「手合わせだが遠慮なく打ち込んできてくれ」
だからと言って斬り殺すわけにもいかないので相手の剣をどうにかすればいいかなと
そもそもAランクとやらがどの程度かもさっぱりわからないが
「よし、ではいつでもいいぞ」
重蔵の目つきが変わる
まずは居合斬りで勝負
この反応具合である程度の力量はわかる
しばし静かな時が過ぎる
ギルドマスターも一向に剣を抜かない重蔵に対して懐疑的ではあったが、その殺気に何も言わず剣を構えている
ギルドマスターも少し気を抜いていたのか
瞬きをしてしまった
その刹那重蔵の居合斬り一閃
ポトっとギルドマスターの剣が半分に切れて落ちる
重蔵の刀はすでに鞘におさまっており、その場にいた者たちは何が起きたかわからなかった
「お前が斬ったのか?」
コクンとうなずき踏み込んだ足跡を指差す重蔵
しばしの閑静からウワー!っと周りからすごいすごいの歓声
ギルドマスターも目を見開いて嬉しそうに駆け寄ってきた
「なんだその技は?スキルじゃないのか?」
その時、歓声に驚いた赤ん坊が泣き出してしまった
訓練生が慌ててあやそうとした時に頭の帯が解けてしまった
「あ、エルフだ」
歓声が鳴り止み一斉に赤ん坊に視線が集まる
ギルドマスターが慌てて訓練生を部屋へ戻るよう指示をするが、ヒソヒソとエルフがどうのと小声が聞こえる
「その赤ん坊はお前の子か?」
ギルドマスターの問いに経緯を説明すると
この町だけでなくこの国は亜人に対して酷い差別があり
他にも獣人やドワーフ、とにかく人以外は排除の対象なのだと
他国ではそうでもなく、冒険者であれば亜人ともパーティーを組むためそこまで差別の意識はないが騎士団や役所関係、それを触れ回ることで町の人間も排除しようとしていること
そのためエルフの子供を預かるような施設はないことを知った
「その腕は非常に惜しいが…」
訓練生には口外しないよう指示したが噂が拡がれば迫害の危険があるという
とりあえず登録は完了し、すぐにでも依頼を受け仕事は出来るというのでその場を後にすることにした
その後は赤ん坊のためにオムツ用の布やら服、カゴやら色々購入し宿屋に向かった
さて困った
ギルドマスターは恐ろしいことも言っていた
「赤ん坊ではあるがエルフを殺しても罪にはならない」と
今後のことを考えるとエルフの赤ん坊を背負いつつ生活するのはかなりの足枷になり共倒れになると
「あり得ん!」
人の口に戸は立てられぬ
いずれエルフのことは知れ渡ってしまうだろう
重蔵はこの赤ん坊を育てる決意をする
長いのか短いのか
一応1話目?
正直ぶっちゃけるとあんまり小説読まないんですよね
ここって何書けばいいのだろ
マイペースで書いていきます。