プロローグ
新作を投稿致します
「陛下は一体何処に行ったのだ?」
「城中を隈無く捜せ!」
「城下にも手の者を廻せ!」
ここ、ルザス王国の城内は少し慌ただしい状態だった。
国王であるアレンは日課とも言える城内を脱け出そうとしていた。アレンは国王でありながら、街に頻繁に繰り出していた。
アレンは没落貴族の嫡男レーンと名乗り冒険者として活動をしていた。
「ったく、退屈な城内になんかいられるかっつーの」
オレは退屈な城での生活より刺激満ち溢れている冒険者に憧れていた。
オレは隠れるようにアランのいる一室へと歩を進めた。
オレがいつも城を脱け出すときは双子の弟であるアランと入れ替わっていた。
オレはいつも通りアランと入れ替わることにした。
「アラン、いつも通り入れ替わってくれないか?」
「良いですけど今回は何日で城に戻るんですか?」
「暫くは戻るつもりはない」
オレの『暫くは戻るつもりはない』と言う発言を聞いたアランは呆れたような表情を浮かべていた。
「兄上、戻られたら王としての責務を果たして下さいね」
「ああ、分かった」
オレはいつも通り弟のアランと入れ替わり、城を脱け出すことにしたが……何度も城を脱け出しているせいか城内は厳戒体制を敷いていた。
『この前教えてもらったあのスキルを試してみるか』
オレは数日前に城を脱け出して街に繰り出した際には知り合った盗賊から教えてもらったスキルを試すことにした。
【透明化】
一定時間気配を遮断する
透明化を使い細心の注意を払いながら城を抜け出そうとしたその時だった。
「陛下何をしてらっしゃるんですか?」
「あ、いや、城下の見廻りにでも行こうかなと……」
透明化を見破ったのは、オレの教育係りを務めていた魔導師のミザリーだった。
「ミザリー、何を騒いでいるんです?」
騒ぎを聞きつけてオレのもう一人の教育係りを務めていた聖騎士のライネルも駆けつけた。
この二人はオレに魔法と剣の基礎を教えてくれた言わば家庭教師である。
ダメ元でオレは、今回城脱け出す事情をこの二人に説明してみた。
以前城を脱け出して街に繰り出した際に、近隣の街や村の領主が私腹を肥やしたり賄賂を受け取っていると言う噂を耳にしたことを二人に伝えた。
「そう言う事情なら仕方ありませんね」
「私達も陛下に就いていきますよ」
「二人共本当に良いのか?」
「「ええ、構いませんよ」」
オレ達は王国内にいる腐敗した領主や貴族を正す旅の始まりだ。
一周年記念で新作を書いて見ました。感想やコメントをお待ちしています