表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/327

第12話 小さな狩人達

 家に持ち帰った鳥の肉を見て、父さんはひどく驚いていた。

 リトルコカトリスの肉だったかららしい。


「フェン、リトルコカトリスは見つけたらすぐ退治するか、場所を覚えておいて連絡してくれ。成長してコカトリスになってしまうと、村に大きな被害が出かねない」

「了解。任せといてよ」

「フェン、そんな危険な場所で遊ぶのは止めて。あなたはまだ9歳の子供なのよ。あなたも、なんてことを頼んでいるの? 討伐をするなら、大人たちで行くべきでしょう」

「母さん、フェンとギーラの訓練をしてよく分かったが、二人はほとんどの村の大人たちより強いんだよ。ギーラは体術と剣術に優れているし、フェンは魔法がやたら得意だ。たぶん、村で勝てるのは、私の他に2,3人くらいだ」

「でも、子供なのよ? 魔物討伐なんて危険なことで、大人が子供に頼るの?」

「そう言われると面目ないが、戦える者が戦うしかない。今の村の戦力を考えると、討伐隊を組むにしても、2人に参加してもらうしかないくらいなんだ」

 母さんはしぶしぶ引き下がった。でも、釘を指すのも忘れない。


「早いうちに、フェンが危ないことをしなくて済むように、手を打ってくださいね。冒険者に依頼するとか、手はあるんですから」

「分かっているよ。明日、近くの町の冒険者ギルドに依頼を出す手続きを取っておく。それと……フェン、念のため確認しておくが、戦闘訓練も始めてない小さな子を魔物が出るような場所に連れていったりしていないな?」

「うん、もちろん。ちゃんと戦える奴しか魔物のいる場所まで連れてかないよ」

 はっきり答えた後、こっそり僕にウィンクしてきた。


『マルは秘密基地で戦闘訓練してるからセーフだよな』

 そんなことを考えていそうだ。そうか、父さんは僕を心配していたのか。心配性だと思ったけど、ちゃんと気にかけてもらえてるのが分かって、僕は嬉しかった。

 ちなみに鳥の肉はとってもおいしかった。


 夕食後、兄ちゃんと書斎で話した。僕は少しずつだけど、強くなっているみたい。

 剣術≪下≫のスキルを覚えたって。それから、木工≪下≫っていうものづくり系のスキルも獲得してた。


 ◇


 今日は午後から、兄ちゃんと狩りに出かける。午前中はヒノキの木刀作りに集中した。後は、明日仕上げをして終わりだ。


「早めに帰って来いよー」

『いってらっしゃーい。また、鳥肉採れたら嬉しいな』


 ギーラとプリシラに見送られて出発した。2人は特に魔物と戦っていることを心配されることもなく、鳥肉を両親に喜ばれたらしい。「チャンスがあればまた採って来い」って反応だったんだって。ギーラと似た性格なのかな?


「マル、戦利品が高く売れそうな敵を狙うぞ。俺達2人なら、多少強い敵でも問題ないからな」

「……兄ちゃん、そういうのはギーラと2人のときにやってよ。僕より頼りになるでしょ?」

「あいつは敵を見つけると即座に突っ込むから、安心して狩りができないんだよ。他に敵がいないかとか、気付かれる前に奇襲できないかとか、全然考えないから」

「あー、ギーラらしいね」

 ギーラは元気がいい分、猪突猛進なところがある。考えるよりも先に行動しちゃうんだ。

 昨日もリトルコカトリスを見つけて、兄ちゃんが特徴を教える前に、即座に攻撃してマヒしてピンチに陥っていたらしい。リトルコカトリスは目線を合わすと、体が痺れてしまうから注意が必要な魔物なんだ。


「ジャイアントキャタピラー、ブラックボア辺りが狙い目かな。いや、キラーベアもいけるか?」

 兄ちゃん、ギーラと同じくらい無謀だった。

 モンスターに詳しくない僕でも分かる。熊なんて、5歳児と9歳児が2人で戦う相手じゃない。そんな魔物の肉を持ち帰ったら、母さんがきっと心配する。


「兄ちゃん、僕、狩りは2回目だから、いきなり強い敵と戦わないで、ゆっくり色んな敵と戦いながら、少しずつステップアップしていきたいな」

「おう。いいぞ。じゃあ、とりあえず、そこの突進ウサギでも狩っとくか。毛皮は売れるだろうし。肉は食べちゃおう」


「う~ん、毛皮を傷つけないように倒すのが難しそうだな。5体いるから、兄ちゃん3体お願いしていい?」

「オーケー。任せろ」


 今日は念のため、木刀を2本持ってきた。右手には斬撃飛ばしができるいつもの木刀、左手にはハンノキで作った木刀。

 気持ちを落ち着かせて、集中。スムーズに、素材を傷付けずに倒すためのイメージを浮かべる。

 まず、少し離れた一体の首を狙って、斬撃飛ばし。こっちに気付いて突進してくる4体に向かって、まだ距離のあるうちに横なぎに左手に持ったハンノキの木刀を振るう。

 風が巻き起こって、突進の勢いが止まる。

 自分の起こした風の勢いに乗って、一気に加速し、距離を詰める。一番近くのウサギに右手の木刀を打ち付け、倒した。


 他の3体は、風で動けないでいる間に、兄ちゃんが電撃を落として倒していた。ちょっとだけ毛皮が焦げちゃったけど、大部分はきれいなままだ。


「マル、お前、いつのまに風の精霊と契約したんだ?」

「契約してないよ、僕」

「今、風起こしただろ?」

「あぁ、このハンノキの木刀、潜在能力で風の加護が付いてるんだ。初めて使ってみたけど、なかなか悪くないね」

 兄ちゃんは絶句してしまった。確かに、ちょっと特殊な気がするよね。この木刀。


「マル、その木刀は大事にしろ。万が一、精霊と契約できなくてもその木刀の力を見せて、風の精霊と契約してますって言い張れば、ごまかせるかもしれない」

 う~ん、そんな簡単にごまかせるのかな? 大事にはしたいと思ってるけど。


 その日は、他にウルフとブラックボアを倒した。ブラックボアは保存食に加工できるから、兄ちゃんが空間魔法で収納。食料の備蓄が始まってから、食料として村に納めることにした。


 ウサギの肉はギーラ達と半分こだ。

 解体は兄ちゃんと僕で手分けしてやった。兄ちゃんも解体術は習得したいけど、素材を無駄にしたくないから、売らずに食べる肉で練習するんだって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ