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②ローストビーフ
「ママが、今からオリジナルの絵本を読んであげるわね」
「うん」
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【サンタクロースと牛】
ふと思った。
そうだ、プレゼントをしよう。
そういえば、もうすぐクリスマス。
そうだ、旅に出よう。
旅に出て、みんなにプレゼントを贈ろう。
でもトナカイはいない。
いないけど牛は飼ってる。
これで行ける。
でも、何を届けていいか分からない。
そうか、私の好きなものにすればいいのか。
牛乳アイスとローストビーフが好きだ。
でも、食品はとても注意が必要だ。
よし、真空パックしたローストビーフを贈ろう。
私は準備をして、みんなにローストビーフを届けてまわった。
全部届け終わったら、お腹がすいてきた。
あれっ。
どうやら、間違えて自分用のローストビーフも渡してしまったらしい。
私は、移動手段となってくれた相棒の牛を見つめてニヤリと笑った。
めでたしめでたし。
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「どうだった? 面白かった?」
僕も最後に見つめられた、あの牛みたいな感情になっていることは確実だ。